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ペンス副大統領夫人のアートセラピー推しが巻き起こした騒動。そこから見て取れるアメリカという国の二極性。



アメリカ・トランプ政権のペンス副大統領夫人であるカレン・ペンスさん。


日本でも、来日した際にアートセラピーをプロモーションしたことが少し話題になったかと思います。


実は、彼女、アメリカのアートセラピー業界にある騒動を引き起こしました。


この記事では、その騒動の真相についてご紹介しようと思います。


カレン・ペンスさんとは?

アメリカ合衆国ペンス副大統領夫人のカレンさん。


彼女はウォーターカラーアーティストとして活動する傍ら、アートセラピーの力を信じ、これまで、大々的にアートセラピーを支持する声明を出してきました。


例えば、自分の地元にある病院にアートセラピープログラムを設立するのに一役買ったり、プログラムがフルタイムのアートセラピストを雇うための資金を出したり、とにかく勢力的にアートセラピーを世に広める活動を取り組んできた人でした。


カレン・ペンスさんが招いた騒動の真相とは

そもそも、アメリカでもまだまだ知名度が低いアートセラピー。


世の注目を集める副大統領夫人がたくさんのメディアの前でプロモーションしてくれるなんて、業界的にはとても喜ばしいこと。彼女の活動を喜ぶアートセラピストもたくさんいました。


アメリカのアートセラピスト達を牛耳るアメリカンアートセラピー協会も、彼女の貢献に好

意的な声明を表明。


しかし、彼女の支持する政治ポリシーが、問題にならないわけがなく…。


トランプ政権に大反対のアメリカ人も多いのだから、当然の流れといえば当然の流れですが、彼女がアートセラピーのスポークスマンを自称することについて、彼女の夫と反対政権である民主党支持者のアートセラピスト達を中心に不満噴出。


それが爆発したのが、「カレンさんが、ある学校で美術の先生として働くことになった」というニュースがきっかけでした。


彼女が美術の先生として働くことになった勤め先が、なんと、”性的マイノリティの親や保護者を持つ生徒を受け入れない、または性的マイノリティの教師を雇用しない。見つけた場合解雇する“ポリシーを持つ学校だったからです。(ちなみにキリスト教系の私立学校だそうで、このようなポリシーは宗教に基づくもので違法とはされていないそうです。)


これがきっかけで、移民や性的マイノリティを支援しているアートセラピストを中心に、アメリカンアートセラピー協会に抗議が殺到しました。


彼らの主張はひとつ。

アートセラピーという分野と人権侵害を公然とする組織に関わる公人を一緒に語るのを許してはいけない。


アメリカンアートセラピー協会は、はじめカレンさんの活動を快く捉えていたこともあって、「個人のすることに肯定も否定もしない…」的なちょっと弱々しい回答を提出。


これにキレた一部のアートセラピスト達が、協会を退会するという事態にまで発展したのでした。


事態の収束は

あまりの大反対を受け、アメリカンアートセラピー協会は、


「我々の活動分野において、いかなる人を差別することは一切しない」


との声明を出し、カレンさんとの関係をフェードアウトした感じでやり過ごし。


騒動は、いまいちはっきりしないまま収束を迎えました。


アメリカ・共和党と民主党の戦いがアートセラピーを巻き込んだ

この騒動が落ち着くまで、Facebookに「人権のためのアートセラピー」といったページが作られたり、アートセラピー協会が交流の場として作った登録アートセラピスト達専用の掲示板がこの議論で荒れまくったり、とにかくさまざまな意見が飛び交いました。


この一連の件、まさにトランプ政権の共和党と民主党の政治対決を見ているようでした。


なかなか日の目を見なかったアートセラピー業界にとって、カレンさんのアートセラピー推しはセラピスト達にとっても注目すべき存在。最初はカレンさんのことを支持する民主党支持者も性的マイノリティのアートセラピストもいたと思います。


そのため、彼女が仕事先に選択した学校が、よりによって共和党トランプ政権(しかもホモフォビック的極端な考え)の思想を持つ学校だったということが、とても残念で仕方ありません。


なぜ、無難な学校にしとかなかったんだろう…と思うけれど、きっと旦那様の政治アピールに利用されたのでしょう。というか、彼女もやっぱりそういう思想だったのね、ということが世間の見方であり、わたしもそう感じてしまいます。


反対派のアートセラピスト達が声を上げたことで、アメリカンアートセラピー協会はカレンさんから一線を引くこととなりました。


しかしカレンさんの貢献度はとても大きいものだったので、学問と政治が一色汰になってしまったのは、本当に残念だと思います。


きっと、今のアメリカはこのようなことを繰り返しているのでしょう。アメリカの社会を反映したような、穏やかなアートセラピー業界には珍しい出来事でした。



クロスカルチャーコンサルタント・BUNKAIWAのヤスでした。

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参考資料:

カレン・ペンスさんの選択した学校について批判があることを紹介しています。


カレン・ペンスさんがアートセラピー提唱者を自称することに対する、アートセラピスト達の複雑な心境を紹介しています。“Karen Pence picks a cause, and Art therapist feels angsts."英語ですがこちらからどうぞ。


人権のためのアートセラピー"Art therapy for Human Rights"を詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。