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対面式セラピーからオンラインセラピー・オンラインカウンセリングに切り替えて気づいたこと&考察【子供・思春期の心理】



新型コロナウィルス感染症の対策に合わせ外出禁止令が発令されたカリフォルニア州では、心理セラピーも対面から、テレセラピー(Tele-health therapy)と呼ばれるオンライン形式に切り替えるセラピストが増えています。 わたしもその一人。 今まで、十代後半以降〜成人のクライアントを除き、ほとんどのクライアントにプレイセラピー(遊戯療法)やアートセラピー(芸術療法)を中心にセラピーを行っていたので、彼らのセラピーも全てオンラインに切り替えるのはとても勇気が入りました。そして、手探りながらも、オンラインセラピー・カウンセリングを開始してから様々な気づきや発見がありました。 そこで、この記事では、一週間オンライン上のセラピー・カウンセリングを実施してみて発見したことや、気付いたことを心理セラピスト視線からまとめてみたいと思います。


オンラインセラピー・オンラインカウンセリングを可能にするために必要な条件とは?

対面のセラピーが、クライアントが身ひとつで来れば良いのに対して、オンラインのセラピーやカウンセリングでは最低でも以下の3つの条件が整っている事が必要となります:

⒈ インターネットとオンライン回線が使える媒体を持っていること:

大前提として、インターネット接続回線とオンラインビデオチャットが出来る媒体が無い場合、オンラインセラピー・オンラインカウンセリングは行うことが出来ません。

⒉ 同じ画面を見ていられる、または同じ場所に座っていられる忍耐力:

これは、トークセラピーではなく、アートやプレイが中心で進められるタイプのセラピーを必要とする小さな子供達がオンラインセラピーには不向きなのではないかと言われる大きな理由です。 体を動かす事が好きでじっとしていられない子や、注意が他に向いてしまいやすい子の場合、同じ部屋の中にいるのであれば、臨機応変に身体的介入をしたり、一緒に遊んだり、興味を惹きつけるアクティビティを提供したりすることも出来ます。 しかし、オンラインではそれが容易には出来ません。 ある注意欠陥を抱えた小学生低学年のクライアントにオンラインセラピーを試した同僚セラピストによると、「話せたのは数分、通信タブレットを持ったまま気が逸れて家中を駆け回った後、誰かの部屋にタブレットを放置してしばらく何処かへ消えてしまった…。」と話していました(笑) 親が間に入ってセラピーをすることを除き、このようなクライアントの場合、対面式のセラピーに比べてセラピストが出来ることは大分限られてしまうのではないかと感じます。また、親の介入が今までなかったクライアントに親の介入をお願いすることは、クライアントとセラピストの関係が変わってしまうと判断し断念するセラピストもいるでしょう。 わたしも、このタイプに当てはまるクライアントにはオンラインでセラピーを提供することは諦め、彼らの親と状況把握の連絡を取る程度に留めるようにしました。

⒊ 個人の部屋、またはプライバシーが保てる環境があること:

住まいの価格が高騰中の都市部では、個人の部屋が無い家庭も多いかと思います。まして、外出禁止令が出ている今の状態では、家族にセッション内容を聞かれることを危惧するクライアントがいて当然です。 また、クライアントの抱える相談内容によってはオンラインセッションは弱点となることも。家族の問題を話したい時に、家の外のセラピールームで思いを吐き出すのと、家族がすぐそばにいる状況で話すのでは、感覚が大きく異なります。家族がすぐそばにいる中で家族の問題を話すのは、罪悪感や余計な心配、安心感の欠如など、複雑な感情を却って生み出してしまう可能性もあります。 わたしの担当するクライアントの中でも、これが理由で対面式セラピーが可能になるまでセラピーを中断せざるを得ない方が何名かいました。状況が状況なだけに、他の方法が思いつかず、治療が中断となってしまったのはとても残念でした。


オンラインセラピー・オンラインカウンセリングの利点は?

反対に、オンラインだからこそ出来た経験や面白い発見もありました。

⒈ オンライン経由で話す方がリラックスしている:

生まれた頃からすでにオンラインが存在していた今の十代以下の若い子たちならではかも知れませんが、オンラインの方がリラックスして話せる子供が意外にも多かったのが印象的でした。 特にリラックス度が大分違ったのは、不安障害を抱える10代後半の女の子たち。とても個人的な見解ですが、自分の見た目や周囲からの反応を大きく気にしやすい彼らにとって、視線に逃げ道のある(隠れる部分がある)オンライン通話の方が楽なのかも知れません。もしかしたら、その感覚の違いを基準に、彼らの悩みの根底にアプローチすることも可能かも知れないとちょっと模索中です。

⒉ 生活環境が見える:

クライアントの後ろに映り込む背景から、クライアントの趣味趣向、生活環境が見えてくる場合もあります。特に、小さな子供の場合、後ろの壁に飾られている絵や家族の写真など、クライアントがどのような生き方をしているのか、対面セッションでは知らなかった一面が知られるのはとても面白いです。

⒊ 子供のクライアントの話したいことがダイレクトに伝わる:

セッションルームに用意されたおもちゃや画材を使うことを求められていた子供たちにとって、「自分の見知った環境に存在するものを自分で選んでセラピストと話す」感覚は、大分違います。 そのため、結構ダイレクトに、彼らが選んで見せてくるおもちゃや過去に描いた絵から、今一番恐れている感覚やメッセージ性が伝わる場合が多いことにとても驚きました。このようなタイプのセッションが出来る子にとっては、もしかしたら対面式セラピーよりもオンラインの方が効果があるかも知れません。そんな可能性を見出しました。


まとめ

オンラインでのセラピーに慣れていなかった心理セラピスト達にとって、今の状況はとても大きなチャレンジでもあり、また、素晴らしい学びの機会でもあります。 事実、心理セラピスト同士のコミュニティでは、オンラインで使用出来る様々な子供のセラピーの介入方法などを紹介し合う事が流行っています。 わたしもまだまだ模索中ですが、対面式のセラピーと同じように、いづれ、自分に合うスタイルのオンラインセラピー・オンラインカウンセリング方法が見つかるよう精進中です。


また、このような状況だからこそ、オンラインの心理セラピーを必要としている方はいるはず。テクノロジーの功績に感謝です。最後までお読みいただきありがとうございました。この記事が、オンラインのセラピーやカウンセリングを模索中の方のお役に立てたら幸いです。


クロスカルチャーコンサルタント・BUNKAIWAのヤスでした。


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