ブログを書き始めてから続けているこのシリーズ、今年4年目になりました!
この記事を書くために、毎年張り切って読書に挑み(笑)どの本を特集しようか、本の選定を楽しんでいます。
今年も、わたしが過去に個人的に読んでみてとても良かったもののまだ紹介していないオススメ書籍を日英のもの交えながら10冊、一挙に紹介してみたいと思います。尚、ここで紹介する本は、出版日時は2022年のものに限らず、順不同、トピックもとてもランダムに選んでいます。去年・一昨年版と合わせ、ぜひ、皆さんの本選びの参考にご覧ください。
祝!日本語翻訳化!!「心の境界線」を学びたい人全てに絶対読んで欲しい本!
心の境界線:穏やかな自己主張で自分らしく生きるトレーニング
ネドラ・グローバー・タワブ著
待ってました!!ブログの参考に何度も登場したこの本、日本語版を待ち望でいたこの本がついに日本語で登場しました!
インスタグラムなどSNSで心の境界線や他人との心地よい距離感の取り方のヒントを積極的に発信するアメリカのセラピスト、ネドラ氏が出したこの本はアメリカでもベストセラーを記録しました。対人関係に悩みを抱えている人にとって、すごくびっくりする「なるほど」知識がいっぱい。境界線を特集した本の中でも、専門知識をわかりやすく説明していて、心理学の知識があまりない人にでも比較的読みやすいとてもおすすめの本です。
有害な男らしさとは?ジェンダー価値観の呪縛を男子の視点から紐解く名書!
レイチェル・ギーザ著
男の子の養子を迎えた女性の筆者による、男の子の住む世界を多角的に、社会構造的に深く分析した本!
著者の住むカナダという土地柄もあり、性差やジェンダー問題に加え、レイシズムなど様々な要素が重なり合うインターセクショナリティの視点も深く説明されるものの、日本で男の子を育てる親にもぜひ読んで欲しい本です。社会がジェンダーを基準にしたどのようなメッセージを子供たちに発信しているのか。特に、「男らしく」という言葉にどのような足枷があるのか、社会に深く食い込む価値観だからこそ見過ごしがちなことをこの本は思いっきり可視化しています。
従来の診断モデルに一石を投じる、自閉スペクトラム症の女の子の特徴を示した本!
サラ・ヘンドリックス著
従来、男の子に多いとされてきた自閉スペクトラム症。しかし、自閉スペクトラム症に持たれるイメージやステレオタイプがあることで、支援の輪から外されてきた子達がいました。そんな子達を特集した本がこちら。
カテゴリではなく連続体(スペクトラム)の視点から理解する自閉スペクトラム症には、性差によって症状の出方に大きな違いがあることが分かってきました。ジェンダーを軸とした社会的期待値が男女で大きく違うこと、それが、本人のコミュニケーションの取り方や人との関わり方に影響を与え、自閉スペクトラム症の特性の現れ方が性差で大きく異なることに深く関わっていたのでした。普段の生活に生きづらさを感じる女の子、その家族、支援者をはじめ医療従事者や教育関係者にもぜひ読んで欲しい本です。
日本は感情の抑圧を繰り返してきた?感情との向き合い方を変えていくためのヒントを日本社会の分析から探る。
哀しむことができない 社会と深層のダイナミクス
荻本快著
日本社会の傾向を神話や歴史に遡りながら精神分析の視点から考察した本。
第二次世界大戦を終えたドイツが、どのように戦争責任と向き合ってきたのかに触れながら、戦後の日本が辿ってきた世論の心的傾向を、比較文化的、歴史的な側面に深く切り込みながら分析した内容になっています。日本最古の神話古事記から読み解ける日本人性であったり、世界でも名高い日本人の潔癖具合を感情の抑圧の側面から考察してみたり。アメリカが戦後の日本をどう統治すればいいか、そこに人類学や精神分析の専門家も関わっていた事実に、びっくりもします。
精神分析をあまり知らない人でも楽しめる、比較的読みやすいながらも、深い内容の日本社会分析の本と言えるでしょう。
人間にとってお金とはなんなのか…お金を巡る様々な生き方の可能性を考えさせられる本
リン・トゥイスト著
お金にまつわる生き方について少し視野が広がるように感じられる本。ブレネー・ブラウンの著書の中で紹介されていたので気になって読んでみました。
『お金』の役割について、概念的に話していて、従来とは違った視点からお金と自身との付き合い方を学ばせてくれる本。ただ、著者は、アメリカでもかなり高取得者が多いサンフランシスコを拠点に、資産家やCEOたちを相手にファウンドレイジング(寄付や資金集めのイベント等)をする人。彼女自身もかなり裕福なバックグランドの持ち主なため、話している内容が正直説得力に欠く部分もあり、「白人の救世主像 (white savior)」的に受け取れる場面も多々。少しうーん、と思ってしまう部分もありました。正直、お金との関わり方では、金持ち父さん貧乏父さんの方が好きかもしれません!
フェミニズムって何?!を優しくわかりやすく諭した日本のフェミニズム入門書!
田嶋陽子著
ビートたけしのテレビタックルでお馴染みだった女性学者の田嶋陽子さんの代表的著籍!
彼女の本では、いわゆる毒親的だった自身の母親との関係を客観的に振り返る形で、母親が抱えていた葛藤を社会構造の問題から分析している本です。
田嶋陽子氏の、母親との関係を軸としたとても個人的な心のプロセスが解説されているとともに、家父長制的社会構造に苦しむ女性や社会的マイノリティたちの現状を言語化した内容で、なんとも言えないカタルシスを感じられる読後感の本です。この本を読むと、テレビタックルでの田嶋陽子さんの脚色に対して…彼女をあのようにしか扱えなかった当時の日本のメディアに残念さを感じてしまうのはわたしだけではないはず。
毒親を精神分析的に解説するのにアリス・ミラーの右に出る者はいない!!心理支援従事者向けの古典!
アリス・ミラー著
『才能のある子』ってどういう子?この本の中の『才能のある子』とは、自分のことで精神的に一杯一杯な親の元で育った、子供ながらに早く精神的に成長しなければならなかったアダルトチルドレンのことを指します。
この本では、大人になってから生きづらさの理由を求めてカウンセリングに来た人たちの、精神的に早熟にならざるを得なかった過去を振り返りながら、彼らが必要としている癒しへのヒントを見つけていくための過程が書かれています。
精神分析・精神力動学的アプローチからみたアダルトチルドレンの本となっており、少し専門的かもしれません。
身体のサインは心のサインかも。身体症状と精神的ストレスの関係性を説明した本!
ガボール・マテ著
カナダの医師、ガボール・マテによる、身体と精神の関係を説明した良書。
中毒や精神症状などの精神的問題の背景には何があるのか。家庭環境や我々の置かれた忙しい社会制度などを振り返りながら、誰もが不調を抱えてもおかしくない世界に私たちが生きていること、それを優しくリマインドしてくれるように語られるガボール・マテの本は、精神医療へのスティグマをなくしてくれるような、そんな感覚を覚えます。
この本では、そのような語り口の彼による、身体症状に焦点を当てた本。自己免疫系疾患や、癌患者(特に乳がんや皮膚がん)には、幼少期の家庭環境や、大人になった後の人間関係のあり方に大きな共通点が見つかったことを話しています。ストレスが体に出やすい人は、特に必見の本かもしれません。
日本政府の少子化対策室の必読書にしてほしい。子供がいない女性の様々な姿をピックアップした、女性の多様な生き方をまとめた本!
くどうみやこ著
少子化、出生率、晩婚化…。様々なことが言われますが、多様な生き方、多様な人生を歩んできている人たちが共存するのが今の世の中です。 「子供がいない」ことがどのような意味を持つのか。それは、その人に聞いてみないと分からないものの、世の中は、子供がいない女性をある一定のステレオタイプで見ている傾向があることに気づきませんか?
この本では、様々な事情から子供のいない人生を歩む女性のインタビューを通じて知る、多様な人生を垣間見ることができます。政府のおじさんたちには、こういう本を読んで、本当の意味での少子化対策や女性支援をしてほしいと強く感じてしまいます。だって当事者が蔑ろにされているのですから。
やっぱり岡本太郎!彼に力をもらえること間違いなし!の名言尽くしの本。
岡本太郎著
1930年代にフランスで青春時代を過ごした岡本太郎。彼の考え方は、とてもリベラルで穏やかで、逞しい。
前衛文学が盛んだった当時のフランスの中心的文学サロンに入り浸っていた彼の思想は、文化人類学や哲学にも深く行き渡り、彼の芸術表現をより豊かなものにしています。
あんなにパワフルな人なのに、とても柔らかい、彼の言葉の数々が、現代社会を生きる私たちにもとても沁みます。彼が生きてたらどんな会話ができるのだろうか、様々な想像が巡ります。
おわりに
気になる本はありましたか?
昨年は、ジェンダー関連の書籍を読み漁っていたのもあり、社会のジェンダー価値観や日本の社会性の視点を含めた心理書籍が多くラインアップしました。
フェミニズムのトピックになると、一部の交戦的なフェミニストのイメージが強いのか敬遠される方も少なくはないかと思います。上記の本は、どれも専門書よりも比較的読みやすく、どこからジェンダー問題を学べばいいのかわからない人にも大変おすすめの本です。そのため、気になったものはぜひ手に取ってみてくださいね。
皆さんも、おすすめの本があれば、是非教えてくださいね!
BUNKAIWA
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