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  • 執筆者の写真ヤス@BUNKAIWA

【2022年版】おすすめの心理学関連書籍10冊を紹介



ブログを書き始めてから続けている、このシリーズもついに3年目!


ブログの参考にしている多岐に渡る専門家達による素晴らしい書籍群。その中には、わたしのブログの読者の皆さんが「面白い!」と感じるものもきっとあるはず…!!


そこで今年も、わたしが過去に個人的に読んでみてとても良かった、心理学の勉強にも役に立ちそうなオススメ書籍を日英のもの交えながら10冊、一挙に紹介してみたいと思います。去年・一昨年版と合わせ、ぜひ、皆さんの本選びの参考にご覧ください。



差別って何!?何が問題なのか分からないあなたへ!とりあえず読んでみて欲しい最初の一冊!

キム・ジヘ著


『差別』は差別主義者だけがするものではない。差別をしている側が自分の加害性に気づかない差別『マイクロアグレッション』について、とにかく分かりやすく紹介されている良書。


差別がどういう社会的構造のもと起こるのか、マイノリティに対する社会の偏見や特権層の慢性的に抱える盲点、差別の心理的インパクトなど、具体的な例題と共にとても分かりやすく説明されています。言葉もシンプルで易し目なため、社会的マイノリティに接することの多い心理関係者のみならず、教育者や10代の学生たちにもぜひ読んでほしい本です。



「ハーフ」「ミックス」「ダブル」…異なる文化背景の両親の元に生まれ育った日本人の体験談が教えてくれる偏見と相互理解へのヒントが詰まった本!

下地ローレンス吉孝著


日本で生きる多文化背景を持つ当事者達の声がたくさん詰まった本。親の異なる文化間のアイデンティティや体験を個人の中でどう解釈していけば良いのか、とか、外見の違いを嫌でも意識させられる客体化体験からくる心のダメージなど、日本社会の中で生き方を模索する様々な若者達の葛藤が痛いくらい伝わってくる本です。


「イメージと現実」というタイトルにあるように、日本のメディアが多文化背景を持つ者をどう映し出し、そこからくる偏見が当事者達にどのような影響を与えているのか…または自身が内在していた偏見について、読みながら色々考えさせられることが多かったです。とにかく分かりやすくシンプルに書かれてるので中学生くらいの子でも読めそうです。



方言は心の距離を図る物差し?!『自閉スペクトラム症のコミュニケーション傾向』と『方言』が交わった時に、どんな発見があるのか!!?

松本敏治著


著者夫婦の会話にある日勃発した「自閉症の子は津軽弁を話さない」論争が起源の、すっごく面白い研究テーマの行方を追った本。


自閉スペクトラム症がどのようなコミュニケーション特徴を持つのか…というところから、リサーチは方言研究や言語学に広がっていき、人にとって『言葉』はどのような役割を持つのか、その社会的な意味合いや『方言』の役割についてを多角的に考えることが出来る本です。


これを読んで個人的に、自閉スペクトラム症はどのように方言を理解しているのか、も知りたいなと思いました。


視覚の無い世界だからこそ見える景色とは!?自分の視野を思いっきり広げてくれる本!

伊藤亜紗著


4つ足の椅子と3つ足で立つ椅子の例えに、「なるほどな〜」と思わず思ってしまうところから始まる本書。


著者の、『目の見えない人』当事者達へのインタビューを通じて理解する、彼らの世界の見方について、自分の偏見をいい意味で挫かれるような感覚がするとても面白い本。特に、視覚に障害がある人との美術鑑賞ツアーについての章で語られるソーシャル・ビューという試みは、アートセラピストとしても、とても参考になるような内容と思いました。


内容の深さと、自分の視点の捉え方の意識がガラリと変わって、読み終わった直後に、思わず「ああこの本、読んで良かった」とすごく実感した本でした。



生まれつき人は誰一人として同じではない見た目を持つように、刺激に対する感じ方にも個人差はある。感覚の個人差を当たり前にしてくれる本!

キャロル・ストック・クラノウィッツ著


感覚統合障害(Sensory Processing/Sensory Integration disorder)と呼ばれる障害は、意外に知られていないのではないでしょう。


体質が一人一人違うように、外部の刺激に対する感じ方に個人差があることを指摘する障害なのですが、例えば、典型的な人からすれば小さな音が、聴覚が過敏な人には車のクラクションのようなインパクトがある…。そのような、人間の体感にあるバリエーションが、どう子育てや教育現場において、感覚が典型的でない子どもたちを苦しめているのか、また、どう改善を促せるのかを細かく説明しています。心理関係者のみならず、教育者、保護者にも是非読んで欲しい本です。


英語版:

The Out-of-Sync Child

by Carol Stock Kranowitz



自分の権利を主張するための、あと一押しの勇気が欲しい人が読むべき本!

イ・ミンギョン著


韓国で2016年に起きた江南駅殺人事件、これは被害者が「女性であるから」という理由だけで、女性嫌悪の男性加害者に殺害されたフェミサイドでした。この事件をきっかけに、自分もいつか命を狙われるのかもしれない、と危機感を抱きフェミニズムの輪を韓国世論に広げていった活動家たちの一人が著者です。


彼女の本では、今まで当たり前にされてきたジェンダー観を覆していくのにどのような大きな抵抗が起こるのか、そしてその抵抗力にどう立ち向かっていけば良いのか、究極の自分の権利を主張するためのアサーティブのテクニックと実践ガイドで溢れています。


セクハラ、パワハラに悩む人、ジェンダーバイアスで嫌な思いをしている人、他人との境界線引きに葛藤する人に読んで欲しい本No. 1です。



最近話題のポリヴェーガル理論をシンプルに知りたい人のための本!(心理職従事者向け)

デブ・デイナ著


トラウマをマインド(心)はどう捉えているの!?を人体の重要な機能である神経系統の仕組みから捉え、神経にアプローチするトラウマ治療の介入方法を説明しているポリヴェーガル理論。

この本では、ポリヴェーガル理論のいろはと、具体的にどのような介入ができるのか、様々な手法を交えたアイデアが提案されているのですが、クリエイティブ活動が神経に与える影響を説明する内容も多く含まれており、アートセラピーをどう応用していけばいいかなと色々なアイデアが浮かんで参考になりました。


英語版:

The Polyvagal Theory in Therapy

by Deb Dana



脳の仕組みから理解する感情の扱い方を網羅したシーゲル博士による代表作の一つ!

ダニエル・シーゲル著


LAでは知らない人は絶対にいない!!というくらい有名なダン・シーゲル博士。幾つもの素晴らしい本を執筆しているのにも関わらず、日本語に訳されてるものが本当に驚くほど少ないのがわたしには驚きと大きな不満なのですが…。


まあ、それはさておき、彼の研究をすごく分かりやすくまとめている、感情とどう付き合っていけばいいのかを説明している名書!感情抑制がどのように機能しているのか、脳の機能の視点から分かりやすく解説されています。


英語版:

Mindsight

by Daniel Siegel



とにかく見てるだけで痛い!!けれど、美術と人体の関係が痛いくらい解る本!!

横田敏勝著


アートセラピーが学問として誕生する前から、人々が楽しんできた絵画などの美術表現作品には、人の痛みが描かれてきました。絵画に描かれる人物がどのような痛みを経験していたのか、人にとって痛みとは何なのかが医学的見解から説明されていて、ちょっとマニアックなんだけれども、読み始めたら結構面白い。

もちろん、物理的な痛みや病気を描写したものに関しての解説もあるものの、創作者・アーティストが生きた時代背景にあった流行病や生き方、価値観、または彼らの個人的境遇がどう作品に反映されているのかも触れられていて、とても興味深かったです。これを読んだら、絵画の見方が少し変わるかも!?



『脱帽』の一言!!オードリー・タン氏のファンになること間違いなしの本!

クーリエ・ジャポン編集チーム著


この人は一体何者!!?と思うくらい、わたしたちの数時代先を生きているような価値観の持ち主である台湾デジタル担当大臣のオードリー・タン氏による、様々な社会問題に対する考え方や台湾で実践しているアプローチを聞いたインタビューをまとめた本。

多様性の実現って?!社会を変えていくための意識づくり、仕組み作りって?!

国民の不安を汲み取り、そこに説明をつけ、具体的に的確・迅速な態度で介入をする。それを実践するオードリー氏の政治ノウハウには、多様性・異文化交流のヒントがたくさん詰まっていました。



おわりに

気になる本はありましたか?


上記に挙げた10冊は、心理学の専門書というよりも、社会学や当事者研究、政治、アートセラピーなど、心理学の枠を超えた本のセレクションになりました。


この10冊を振り返ってみると、やっぱりわたしは、様々な『人』の境遇や生き方、文化背景に興味が向くことがとても多いようです。なので今年も、文化人類学、社会学、雑学…色々読み漁っていこうと思っています!


少し偏った10冊になりましたが、皆さんが素敵な一冊と出会えるきっかけになれたら嬉しいです。


皆さんも、おすすめの本があれば、是非教えてくださいね!



BUNKAIWA

 

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