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アートセラピーとは何か?5分で読み切れるアートセラピー紹介文



みなさんは、アートセラピーについて、どのようなイメージを持っていますか?

描いた絵を分析したり、癒しツールとして使ったり。

なんとなくアートセラピーって、言わんとしてることは分かるけど、はっきりどういうものなのかを説明するとなると、少し分かりにくい存在ですよね。

そこで、アメリカでアートセラピストをしている著者が、「アートセラピーとは何なのか!」これを読んだら大体わかる、5分で読み切れるアートセラピー紹介文を書いてみました。



アートセラピーとは

アメリカの著名なアートセラピスト、キャシー・マルキオディ氏は、著書"The Art Therapy Sourcebook" の中でアートセラピーをこのように説明しています。

”アートセラピーとは、わたしたちが内に秘めたもの(例えば、考えや感情、感知)と、外の現実や人生経験を繋ぐコミュニケーション方法に、言葉を用いない言語である『アート』を使用し、【個人の成長】【洞察力】【変容性】を高めることを目的にした心理療法を実践する上での手段の一種である。”

アート・芸術制作は、個人の内に秘めた気持ちを外に発信するためのコミュニケーションの一つでありながら、その過程に、癒しや精神的向上の効果も含まれる、この考え方が基盤にあります。



アートセラピーと一般の心理セラピーとの違いは?

アートセラピーは、一般の心理セラピーと目的が随分異なるようなイメージがありますが、クライアントとセラピストがアートを使ってコミュニケーションを図ることがあるという以外に、一般の心理カウンセリングや心理セラピーと大きな違いはありません。

アートセラピストのゴールは、クライアントの心のケア。そのため、アート制作を間に挟むものの、クライアントの気持ちに焦点を当てることを常に意識します。クライアントが制作時、制作後にどのような心境を抱えているのか、アート制作を通じて経験するすべての気持ちに寄り添います。アート制作が含まれることで、言葉に出来なかった意識や感情、考え事、発見が浮かんでくる場合もあり(下記にその理由があります)、言葉だけのセラピーよりも、早く深層心理にたどり着けることもあります。

そのためアートセラピストが維持する法律や倫理規定・心理学基礎知識も、アメリカの場合、州によりますが、心理カウンセラーとほぼ同じレベルが求められており、国や州の心理資格を同時に所持しているセラピストも多いです(わたしもその一人です。)



アートセラピーは誰に使うの?

アートセラピーというと、子供に使うイメージが多いですが、ティーンや大人、年配の方まで、様々な年齢層の方に向けて使われており、相談内容や症状、クライアントの境遇も多岐に渡ります。

また、個人のセラピーだけでなく、グループセラピーにも多く取り入れられているのが特徴と言えるでしょう。



アートセラピーに使われるアートの種類

アートセラピストが使うメディアは、絵画に限らず、彫刻や陶芸、手芸、工作、映像、写真、文章など、さまざまです。


共通しているのは、「視覚や触感で体感できる創作が出来るもの」ということ。


そのため、意外かもしれませんが視力が無い方へのセラピーにも積極的に取り入れられています。


画材の紹介の仕方や使い方は、セラピストが得意とする心理理論やアプローチ、そしてクライアントのタイプや年齢層、抱えている悩みの種類、アートへの積極度によっても変わってきます。


例えば、美術制作に自信が無いと言い切る年配のクライアントには、ペインティングを紹介するのではなく、切り貼りだけで済むコラージュ(例えば、文字や雑誌の切り抜き画像で詩を作るよう提案する)など、その人が取っつきやすい媒体を選別します。



アート制作に興味が無い人にもアートを使うのか?

もちろん、クライアントの同意を得た上で、が大前提ですが、アート制作に興味がない人にも、敢えてアートセラピーを紹介することもあります。

それは上記にも述べたように、アート制作が、クライアントに癒しや精神向上を促す力を持っているからです。



アート制作と脳の関係について

最近は、脳科学の研究が進み、アート制作と脳機能の関係についてさまざまなことが発見されており、科学的に、クリエイティブなことが脳に与えるポジティブな効果が実証されています。

突然ですが、みなさんは小さい頃お絵描きをした経験はありますか?

不思議なことに、どの国の子供たちもお絵描きや造形を楽しみます。子供たちは、異なる形や色に興味をもち、手や指先を使い、試行錯誤しさまざまな発見をアート制作を通じ経験します。この作業は、ただ一見遊んでいるだけのように見えますが、脳の神経を刺激し細胞を増やす行為でもあるそうです。

アート制作時の体の動きや感触・感覚が脳に情報を与えている。それはすなわち、脳や体には、アート制作の体験や記憶が刻み込まれることになります。つまり、人間の本能・感覚・記憶にアート制作がダイレクトに関わっていると言えます。

そのため、アートを利用してコミュニケーションを取るということは、言葉よりも簡単に人間の本能や感覚、そして記憶にアクセスすることを可能にします。そこに着目しているのがアートセラピーです。

大人になってアート制作を一切しなくなった・アートは無理と思ってる人でも、小さい頃は絵を描くのが好きだったという人、結構多いのではないでしょうか。そのため、クライアントの乗り気度に関わらず、敢えてアートを試してもらうことに意味があるのです。そしてそれは、自分の奥深くに閉まっていた記憶にも、体や感覚の刺激を通じてアクセス出来る可能性があるのです。



人にとってアートは欠かせない存在のもの

アートは人間が古代から文化の中に組み込んできた切っても切り離せないもの。そのため、「アートによるコミュニケーション」に着目したアートセラピーという学問が生まれたのは、とても自然の流れだったのかもしれません。


アートセラピーは、数あるアート表現方法と心理学の理論をアレンジし、クライアント一人ひとりに合わせてセラピーをデザインする治療テクニックです。


もしかしたらアートセラピーという言葉が「これだ!!」という説明にたどり着かない理由は、各個人が持っているアートに対する思い出が一言では語れないものだからかもしれませんね。


実はとても奥が深くて面白いアートセラピー。


これからも、この世界の魅力をみなさんにどんどん伝えてきたいと思います。



クロスカルチャーコンサルタント・BUNKAIWAのヤスでした。


アートセラピー情報を紹介するnoteを始めました。本記事を始め、様々なアートセラピー介入方法を紹介予定です。興味のある方は是非フォローをしていただけたら嬉しいです。



参照文献:


Hass-Cohen, N. & Findlay, J.C. (2015). Art therapy and the neuroscience of relationships, creativity, and resiliency: Skills and practices. W.W. Norton & Company. New York; NY.


Malchiodi, C.A. (2007). The art therapy sourcebook. The McGraw-Hill. New York; NY.


Malchiodi, C. (2011). Handbook of art therapy (2nd ed). Guilford Press, New York; NY.





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