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異文化コミュニケーションに立ちはだかる大きな壁『レファレンス』の存在。その正体とは?



みなさんは『レファレンス』という言葉を知っていますか?


英語で直訳すると『参照』というこの言葉。実は、異文化理解をする上でとても厄介な存在なのです。そしてこれは、ある程度現地の言葉がわかってきて、ネイティブの人とコミュニケーションを取れるようになった外国人が多く直面する課題です。


レファレンスは英語圏に限ったことでなく、どこの国どの文化にも存在するもの。日本に住んでいる異文化出身の方も結構これに苦しんでいるのでは(断言)。


そこで今回は、言語習得の難しさに埋もれて無視されがちな、この『レファレンス』の存在について、対処法も交えて書いてみようと思います。


レファレンスとは?

Reference(英名詞)

言及、論究、参照、参考など


論文の参考文献などに使われる言葉として知っている方も多いかと思います。わたしは、異文化コミュニケーションのラスボスとしてこの存在を捉えています。なぜなら、言語と違って学習する上での指針が無いから。そしてこれは、日常会話の至る所に勃発します。


日本語の会話を例に出すと、


例えば初対面の人と話していて、その人の家庭環境を聞いた時に「僕、マスオさんなんです」と表現した人がいます。


その時、瞬時に『この人は、お嫁さんの実家にお嫁さん家族と住んでる人なのかな』と想像出来る日本人は多いのではないでしょうか?


というのも、これは日本人にとっては国民的アニメ・サザエさんからのレファレンス。


よっぽどテレビに疎い人でも、サザエさんが好きでなかった人でも、日本の環境で育った人ならなんとなくサザエさんの家族構成がわかることを前提とした表現です。


そう、レファレンスとは、自分の育った文化環境の中では誰もが知っているであろうとされる過去のさまざまなことがランダムに、会話の中で形容詞がわりに使われること。


日本語で言うと「元ネタ」に近いでしょうか。


歴史上の有名な出来事に関することならばまだしも、日常的に使われるのは、主にテレビ番組や有名人、へんなギャグなど、どこから勉強すればいいのかというものばかり。


わたしも仕事場で、みんながゲラゲラ笑ってる中「え、それなんのこと?」っていう場面が何十回もありました。(今でも継続中)。


対処法はあるのか?

この掴み所がないレファレンスという存在。日常会話にとってもたくさん出てきます。そして、自分だけ知らないと結構寂しい。


どうせなら、現地の人と同じようにリラックスして日常会話に臨みたいですよね。そこでレファレンスを乗り切る方法をまとめてみました。


⒈ その国・文化の人たちに人気のテレビ番組や映画を見る。


すべてとはいかないものの、今流行りのテレビ番組や映画をとりあえず1シリーズ見てみるところから始めましょう。


アメリカの場合は、例えば『ゲームオブスローンズ』シリーズや『スターウォーズ』シリーズなど。1つ見終わってみると、日常会話にどのようにこれらがレファレンスとして使われているのか知ることができます。『アベンジャーズ』に関しては、各映画がレファレンスの役割を担っているくらい相互のストーリーが交差して話が進みます。観終わった後、「あれはあの映画のレファレンスだ」と語り合うことが一つの楽しみになるぐらい、レファレンスを重視し、活用している映画シリーズと言えるでしょう。


一度コツを掴んだら、そこからは、自分の好きなジャンルの有名映画や番組を過去に遡って見ていく。


この時、好きでないジャンルを見ても苦痛なだけなので、自分への楽しみがてら、興味のあるものを中心に無理のないペースで見ていくことをお勧めします。それに、現地の娯楽に触れることは、レファレンス対策のためだけでなく、その文化に根付く美意識・笑いのセンスなどの理解をより深めます。


ちなみに、スターウォーズは昔からあるので、とってもレファレンス率が高く、この有名なセリフ↓


May the force be with you.


これがいろんな場面でやたら使われ、


May the _______ be with you. 


と中身を少し変えて使われる場合もあります。元ネタが分かっていると「ああなるほど」って感じの反応ができます。


ちなみにわたしは英語が拙い時の話し方がヨーダにちょっと似てたので、間違った文法を使った時は、「ごめん、ヨーダになった」と言っていました。


とにかくさまざまな使い方ができるので、気に入ったセリフやキャラがいれば自己流にアレンジして使ってみることをお勧めします!


⒉  レファレンスについてストレートに訊く。


会話の流れを止めてしまうのではないかと心配になり、レファレンスを知ったかぶりすることがあるかもしれません。わたしもあります。


この時、ちょっと勇気が入りますが思い切って「それってなんのこと?」と質問してしまうのもありです。すべてのレファレンスに対して訊くわけにはいきませんが、例えばすごく盛り上がって爆笑を招いてるようなレファレンスに関してはすごくいいチャンスです。


わたしの個人的な経験になってしまいますが、そのような盛り上がっているレファレンスを訊いた時は、一瞬静まり返ったあと「これがこうで、こうなの!ギャハハ」とさらに盛り上がることが多いです。


質問が話を折るどころか、内容を共有したくて、わざわざすごく細かく説明してくれる人が多い気がします(自分統計上)。そしてわたしも内容を理解して笑う→さらに笑いが起きる、という構造が出来て、会話が楽しくなります。


わたし自身、日本の文化に詳しくない人に例えばサザエさんのレファレンスをするのは結構楽しいです。人間心理として、だれかに何かを教え共通の理解を深めるというのは、気持ちのいい行為なのでしょう。


そのため、みなさんも分からないレファレンスに遭遇したら、あまり気兼ねせずに訊いてみるのをお勧めします。


⒊ 諦めも肝心


2の内容にも重複しますが、異文化で育ったんだもの、知らないことがあっても当然。知ったかぶりするより、分からなくて当然、というスタンスを取るのも、レファレンスに対処する良い方法です。そして、朗報!


同じ文化出身者同士でも、世代や趣味嗜好によって、レファレンスが全く通じない場合があります。


そのため、すべてのレファレンスを理解する必要は無いのです。文化変容と同じで、自分のペースで自分の好きなジャンルを中心にレファレンスの知識を少しづつつけていきましょう。


さいごに

一人だけ会話の場についていけないというのは、誰でもとても焦る状況。英会話学習者が日常会話が一番難しいと言う理由も実はこのレファレンスの存在があるから。


クールに知ったかぶりを装うのも手ですが、諦めて自分の無知を明かしてしまうことは、自分が楽になるための重要な一つの方法です。


「恥」の研究者として有名なブレネー・ブラウンさんが、”The Power of Vulnerability”で話していました。


「自分に足りないこと(弱さ)を認めてしまうのも、強さの一つだ」と。


足りない部分を受け入れることは、とても怖い、勇気のいること。しかし、自分に足りない(弱い)部分を一度受け入れてしまえば、逆にその弱さを抱える自分がどう対処していけば問題を解決していけるか、具体的な打開策を練ることが出来ると話しています。


『レファレンス』は異文化出身者にとって、高いハードルの一つ。


しかし、異文化交流の真髄は、自分に知らないものだらけのところから、少しずつ、新しいことを吸収して自分の引き出しを増やしていくこと。


会話についていけなくて億劫だった現地の人とのコミュニケーションも、ぜひ、新しい文化の掘り出し物を見つける感覚で、レファレンスと共に楽しんでみてはいかがですか?



クロスカルチャーコンサルタント・BUNKAIWAのヤスでした。


参照文献:


本当の勇気は『弱さ』を認めること

ブレネー・ブラウン著


自分の足りない部分を認めてしまうことは、負けではなくて勇気なのである。恥の研究で有名なブレネー・ブラウン博士による、とっても力強いメッセージがたくさん込められた名書!海外生活で大変な時だからこそ、ポジティブな考えをたくさん取り入れて!弱気になりがちな異文化交流会話の場で、自分を優しく後押ししてくれる、とってもおすすめの本です。



Brown, Brene. The power of vulnerability: teachings on authenticity, connection, and courage. Narrated by Brene Brown. Audible, 2013. Audiobook.


参照:

映画『アヴェンジャーズ

映画『スターウォーズ

海外ドラマ『ゲームオブスローンズ