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【2025年版】おすすめの心理学関連書籍10冊を紹介

  • 執筆者の写真: ヤス@BUNKAIWA
    ヤス@BUNKAIWA
  • 5月19日
  • 読了時間: 8分

更新日:9月6日


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このシリーズも今年で6年目となりました!


今年はいつもよりも遅くなってしまいましたが、例年同様、個人的に読んでみて良かったり印象に残った本をまとめました。尚、ここで紹介する本は、出版日時はバラバラ、順不同、トピックもとてもランダムに選んでいます。本選びに迷った際は、ぜひ、皆さんの本選びの参考にしてみてください。



日本人論の真骨頂!

土居健郎著


カナダのセラピストゆうきさんとnoteで展開しているリレーブログで今、ホットトピックとして扱っているこの本。去年は何度も読み直しました。


日本文化や社会構造、その歴史は、日本で生まれ育った人々の精神性に影響を与えています。この本では、精神科医である著者が、日本文化に深く根付く「甘え」が、人々の心にどのような機能を果たしているのか、精神分析的視点を用いながら説明しています。


著者のアメリカでのカルチャーショック体験から語りが始まることから、日本文化論的に扱われることが多いですが、実際は精神分析と言語学、社会学的な記述が多く、とても学びの深い内容になっています。そのため、何度読んでも解釈を飲み込みきれていない自分がいて、甘え関連書籍の沼にハマってしまったきっかけになりました。



異文化理解とは、どういうことなのか。この疑問を学術的にわかりやすく教えてくれる本

黒木雅子著


『異文化』から連想する「文化」とは、民族的文化についてが多いかと思います。しかし、この本では、国や民族的アイデンティティに限らず、人種、年齢、性的指向、社会的立場、等、「文化」は様々な角度から眺めることが出来ると話しています。インターセクショナリティ的にぶつかる色々な立場からの価値観や視点が接触した時、そこに生まれる衝突をどう理解し、相互理解へ導いていけばいいのかを取り扱っています。


ケーススタディ的な内容で、事象が客観的に説明されているので、すごく読みやすく、社会学が好きな人におすすめの異文化理解入門の本です。



とにかく分かりやすい!ジェンダー問題についてを学びたい人にぴったりのジェンダースタディ入門書

加藤秀一著


最近参加しているジェンダースタディグループで必読書になっており知った本なのですが、すごく良い。とてもニュートラルにジェンダーに関するトピックが説明されていて、解説の言葉選びも専門用語を使いつつ分かりやすいため、とてもすんなり内容が頭に入ってきます。


各章の最後に、「あなたは、この問題にどのような意識で取り組めるのか?」といった自身の内省を促すような設問があり、セルフスタディにもとても良い本だと思いました。



フェミニズムの意識を変えていこう!男性による、みんなのためのフェミニズム導入書

チェ・スンボム著


フェミニズムというと、「女性vs男性」といった二元的な対立構造で語られやすいのは前々から問題視されています。この本は、そのような対立を和らげ、人々の理解の架け橋となれるような、そんな希望と共に男性によって書かれた本。著者は、男子学生たちにフェミニズムを教える活動をしている教師だそうです。


著者は、自分が元々、フェミニズムに対してどのようなイメージを持っていたのか、というところから、どうやってフェミニズムを知り、そしてそれをどう理解していったか。これらを自己開示的に赤裸々に語っています。有害的な男性性ともリンクする男性の苦しさにも焦点を当て、その中で、社会を生きる人々が抱える苦しさの解決に、何が必要なのかを模索している書き方に、とても好感が持てます。



植物状態患者と看護師の関わりを通じて知る、人間的な交流と癒しの力の可視化を図った本

西村ユミ著


病気や事故が理由で植物状態となってしまった患者さんたちと、彼らをケアする看護師さんとの交流についてを現象学的に記した本。


「植物状態患者」とは、自分自身や周囲の環境を認識できずに、他者と関係することが不可能である人と定義されるそうです。


この本では、その定義を覆すような現象が、看護師さんと患者さんの間に起きていることー看護師の患者への接し方や言葉使い、看護師といる時の患者のわずかな表情や様子の変化など、に注目しています。二者間のなんとも説明できない交流の様子に注視した観察日誌のようで、静かなやり取りの中にも人間的な温かい交流が存在することがほんわりじんわり感じられます。ケアとはなんなのか、人にとって何が生きるエネルギーとなるのか、そんな哲学的なことを考えさせられる自分がいます。



初めて理解するのにぴったりな対人恐怖論の本

内沼幸雄著


日本発祥の『対人恐怖症』の第一人者・内沼幸雄。彼の対人恐怖論書籍の中でも入門的な立ち位置にあるこの本。対人恐怖症とはなんなのか、その最初の発見から、効果的な治療法までわかりやすくダイジェスト的に説明してくれています。


対人恐怖症とはなんなのか、日本の文化的背景や社会的交流のスタイル・関わり方の歴史、そして、森田療法の介入視点等、日本の臨床についての理解を深めるのに必須な本かと思います。



【トラウマ】×【ポリヴェーガル理論】×【チャイルドセラピー】=3つを掛けたらすごかった!

リサ・ディオン著


トラウマインフォームドケアが必要な子供達のカウンセリングに必要な視点を神経学的理論(ポリヴェーガル理論)を用いながら、わかりやすく説明してくれる本。チャイルドプレイセラピーに携わる人なら読んでおきたい内容だらけ。


個人的にこの本の好きなところは、セラピー対象の子供達を病理化してみるのではなく、その子たちがセラピストである自分との間に作る関係性がどのようになるべくして起きているのか、という見方が前提にあること。そして、二者の間にどのような関係性が作られ、情緒的交流が起きているのかを、両者の情緒調節機能に着目しながらセラピーが行われていく様子を説明しているところです。


関係論的・愛着理論的バックグラウンドを持つ心理療法士には、ストンとくること間違いなし。



『従順』の持つ負の側面を疑ったことの無い人へ。

アルノ・グリューン著


昨今のアメリカの事情を考えると、とても他人事ではいられない内容の本。


人はなぜ、社会情勢が不安になると右翼、そしてマイノリティヘイトに傾くのか。過去の歴史で何度も繰り返されてきた悲劇への回答がここにあります。


従来の慣習に挑戦を挑み続け、社会的な視点から群衆を分析する著者のこの本は、第二次大戦のナチスに同調した人々の傾向を鋭く指摘するだけではなく、それがどのような意味を持っているのか、人類全体の心的傾向に触れています。


権威主義的な毒親との関係についても触れられており、家庭から社会まで、ミクロからマクロに例を出していて、深いながらも、とても分かりやすい本です。



今年の「面白いからとにかく読んでほしい本」No.1

赤坂憲雄著


タイトルがちょっと怖いこの本。どんな暗い内容が書かれているんだろうかと恐る恐る読み始めたものの、あっという間に引き込まれた本でした。


「男はつらいよ」の寅さんの考察から始まり、あっという間に当時(多分30年ほど前)の日本で起きたセンセーショナルな事件の背景にあったであろう社会的心理現象をわかりやすく説明していて、とにかく面白かったです。


一つ前に紹介した、アルノ・グリューンの「従順という心の病」と合わせて読むと、より一層理解が深まる本かと思います。日本の社会心理現象に興味がある人だったら満足すること間違いなし!



「最近の若いものは…」とはこの時代から始まった?

小此木啓吾著


現代日本人が抱える慢性的非充実感の原因を分析している本。


『モラトリアム』とは、エリク・エリクソンのアイデンティティ論が由来の、一人前になる手前の準備期間・研修期間を意味する心理学用語。本来であれば、人間の精神的成熟に合わせて青年期を超えると終わるとされていたこのモラトリアム期ですが、この時期から卒業出来ない大人が最近増えているのではないかと指摘する著者。そこには、戦中、戦後で大きく変わった日本社会の様相の変化が関係しているのではないかと、著者の分析が炸裂します。


この本が書かれたのは数十年も前にもかかわらず、現代社会にもピッタリ当てはまっているような気がするのはなぜだろう。著者の鋭い社会考察視点が、的確すぎて…、終始「なるほど…」しか出ない内容となっています。



おわりに

気になる本はありましたか?


もしかしたらかなり偏ったリストかもしれませんが、ちょっと読んでみたいな~と思う作品がありましたら嬉しいです。


皆さんも、おすすめの本がありましたらぜひ教えてくださいね。コメントお待ちしております。



BUNKAIWA

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