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内向的な性格は海外生活に向かない?自分らしい異文化適応を実現する方法【異文化変容ストレス】


アメリカで心理セラピストをしながら毎日多くの人と関わっている生活を送るものの、わたしは自他共に認める、とても内向的な性格をしています。

初対面の人に会うと、どんなことを話していいのか自意識過剰になったり、挙動が不審になってしまったり。子供の頃には場面緘黙だった時もあったりして、とにかく社交が苦手だったんですね。大人数の集まりだとすぐに疲れてしまって、逆に、一人で引きこもって個人活動をしているのが全く苦ではない。

このような性格のわたしにとって、言葉も文化も慣れない異文化生活、しかも常に現地の人と常に関わらなくてはならない学校環境は、とても苦しいものでした。

わたしの場合は極度のシャイだったこともあるのですが、読者の皆さんの中には、内向的なタイプのために、なかなか周囲に馴染めない…と悩んでいる方もいるのではないでしょうか?

そこで、この記事では、わたしが実体験から学んだ、内向さんのための異文化適応攻略のヒントを紹介してみたいと思います。

内向的な人が異文化変容ストレスを乗り切るために必要なマインドセット

まず、内向的な人が異文化環境を乗り切るには、大きな意識改革が必要です。なぜなら、わたしたちは、自国を離れる前から既に、海外で生活する日本人のイメージや「あるべき姿」を知らず知らずのうちに内面に取り込んでしまっているからです。その中でも、“海外生活に向くのは外向的な人”というイメージ、このイメージに苦しめられた人は少なくはないのでは。

ネットで「異文化適応」「海外移住」などの言葉を調べていると、よく出てくるのは、海外生活を満喫したイケイケな人たちのキラキラした姿。


行動力があったり積極性があったり、フットワークが軽くて、どんな人にも物怖じせずに立ち向かっていける、そんな人たちだからこそ異文化生活が上手くいっているような印象を持っていたのは、決してわたしだけではないでしょう。


異文化適応にとても悩んでいた時の自分は、海外生活を上手く乗り切るには、自分もそのような外向的な人にならなければならないのだと思い込んでいる節がありました。そして、そうはなれない自分に対して、焦燥感や自己嫌悪を感じることも。


しかしながら、日本社会だけを考えてみても、積極的な人もいれば内気でシャイな人もいる。それはどの国、どんな文化環境に行っても、実は同じ。内向さんには、内向さんの適応の仕方、合う環境、向いている生き方がある。それを少しずつ自分のものにしていけば良いのです。それが、内向さんが持つべき、異文化適応を乗り切るためのマインドセットです。



内向さんだからこその乗り切り戦略

でも、そうは言ってもどうやって自分の内向的な性格を受け入れていけるのだろうか。異文化適応の際に注意したいこと、内向的な人が異文化適応を乗り越えるための3大戦略をまとめてみました:


⒈ 自分の休息手段を理解する。


外向的な性格の人が、人と会ったり外に出たりすることで元気を得る一方で、内向的な人は、自分一人の時間を持ったり自分の好きなことに没頭したりすることが元気の源、心の充電になっていきます。

そんな内向的な性質を持つ人にとって、常に刺激がある外、しかも異文化で全てが真新しい環境下においては、少しの外出でもとても疲れてしまいます。しばらくは日常生活をなんとかやり過ごすだけでも精一杯かもしれない。そんな状況下で、どんな休息の取り方をすれば良いのか。その休息方法を深く考えてみましょう。

特に、留学生の場合などは、学校やホストファミリーが良かれと思って休みの日に社交の場を設けてくれる機会が増えます。しかしながら、人と会うと疲れてしまう傾向があるのであれば、家に一人で篭っている方が暗そうに見えても息抜きになるのです。厄介なことに、一人で家に篭っていると気の毒がられたり心配されたりすることが増えるのですが、自分にとってそれが一番の充電期間になるのであれば、周りが何と言おうと、自分にとって一番必要なことを優先していく必要があります。そして、それを説明できるようにしておくと良いでしょう。

⒉ 内向的な性格だからこその特性を武器にしていく。

「アメリカの学校では発言を積極的にする生徒が評価される」と耳にしたことはありませんか?このような説明が多い欧米は、外向的な人のために作られている社会、内向さんにとってプレッシャーになる世界と言っても過言ではないかもしれません。

しかしながら、クラス一つ、ミーティング一つとってみてもよくよく観察してみると、思ったことをなんでもかんでも口にしていく賑やかでフレンドリーな人もいれば、必要な時だけ発言する静かで大人しい人もいて、さまざまな参加の仕方がある。これはつまり、どんな人にでも、居場所は提供されており、要は自分がどうやって、そこに参加していくのかが試されているということなのです。

わたしはクラスやミーティングなど集団の中で発言を積極的にすることがとても苦手なのですが、一人で悶々と批判的に物事を分析するのが好きな性格が相まって、たまに発言する時には、その視点の面白さを評価してもらう場面もあることに気がつきました。周りがワイワイ「ああだこうだ」話してる中で、そこにまだ出ていない面白い鋭い視点をどう思いつけるか。そんなことを思いながら静観しつつ、そして、静かになった頃合いを見計らって発言する。自分の内向的な特性を理解した上で周囲との関わり方を見つけていきました。


「類は友を呼ぶ」とは本当にあることで、このように自分らしいスタイルを貫いていると、少しずつ、自分の意見に共感してくれる人や、似たような価値観を持つ人が自分の周りに増えてもきます。


皆さんにも、自分に合った周囲との関わり方が絶対にあるはずです。それを見つけていくことが、この異文化生活の社交側面を切り抜けるヒントとなるでしょう。

⒊ 異文化適応に関する自分の期待値を下げ、現状の自分を労り認める。


しかしどんなに自分の性格や傾向を理解していったとしても、やはり社会的に「良し」「憧れ」とされる人物像に自分を近づけていきたい…と思う場面はどうしてもあるでしょう。


本当は、現地の人に積極的に関わって、友達たくさん作って、「こんな風に(妄想)異文化生活を満喫したいな~」と思うこともあるかもしれません。

しかし、それはもしかしたら自分にもいずれ出来ることかもしれないけれども、出来ないかもしれないことでもあるかもしれない。ただ、それが分かるには長い時間と数々の場数、経験値を重ねていくことが必要です。


長い時間を掛けて、徐々に徐々に、自分に合った現地への住み方が理解出来るようになります。そこには、自分の思い描いていた海外移住像とは違う自分像が待っているかもしれません。しかし、そこを受け入れていくことが、自分に合った異文化適応方法を見つけ、そこに自分なりの居場所を見つけていく手がかりになるのです。

異文化変容・異文化適応は他人とは一切比較できない、とても個人的なプロセスを辿る

異文化変容の、その変容のスピードには、とても大きな個人差があります。外向・内向以外にも、個人の経験してきた生き方、抱えている障害や葛藤など多岐に渡る個人的要因が、移住先の現地で経験する様々な様相と重なりあってその適応のスピードを早めたり遅めたり。他人の誰とも比較できないとても個人的なプロセスを辿ります。

そのため、自分の傾向や性格を深く理解し、他人の意見よりも自分にとってまず何が大切なのか。自分の心に常に耳を傾けながら、行動を一つ一つ選択していくことが、異文化変容を乗り切るための方角を導いてくれるコンパスとなるのです。


この記事は、昔のわたしのように、外向的になれずに落ち込んでいる内向さん、異文化適応に悩んでいる方を励ましたい気持ちで書いてみました。異文化生活サバイバルの参考になれる部分があったら幸いです。

クロスカルチャーコンサルタント・BUNKAIWA

 

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おすすめ本:

Masato

岩城けい著


オーストラリアに駐在することになった家族の、息子マサトが辿る、異文化変容の軌跡を描いたフィクション小説。主人公の気持ちを通じて痛いほど理解できる、異文化変容ストレスの葛藤が、彼のみならず、彼の母親の視点からも描かれています。これから海外移住予定の学生さんや、駐在家庭の親御さんにおすすめの本です。とても面白いです。




参考文献:

Berry, J. W., Kim, U., Minde, T.,& Mok, D.(1987). Comparative Studies of Acculturative Stress. International Migration Review. Vol. 21, N


Kim, B.K.,& Omizo, M.M. (2006). Behavioral acculturation and enculturation and psychological functioning among Asian American college students. Cultural Diversity and Ethnic Minority Psychology, 12(2), 245-258.doi:10.1037/1099-9809.12.2.245



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