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企業のアンガーマネジメント研修がなぜ負担に!?従業員の心の問題は組織の問題【SNSでの反響を受けて】

  • 執筆者の写真: ヤス@BUNKAIWA
    ヤス@BUNKAIWA
  • 2021年6月13日
  • 読了時間: 5分

更新日:9月6日


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皆さん、こんにちは。

先日SNSに投稿したコメントに、驚くほど大きな反響をいただきました。


”「アンガーマネジメントを習いたい」と相談される方の話をよくよく聞くと、「それは怒って当然では…?」という場面が多い。さらに掘り下げると、会社の上層部が自らのマネジメント不足を棚に上げ、部下の心の問題にすり替えているケースが少なくない。”


”職場でうつ病などによる休職者が2名以上出ている場合、まず会社や上司のマネジメント力不足を疑った方がいいのではないか”


(投稿は一部表現を調整しています)


この投稿は、近年増えている企業でのアンガーマネジメント研修に関するコメントで、多くの意見をいただきました。中には「実際のビジネス現場でどう活用されているか」を教えてくださるものや、私の投稿がアンガーマネジメントへの誤解を招く可能性を指摘してくださるものもありました。


そこでこの記事では、SNS投稿の意図と背景、そしていただいた反響を通して感じたことを整理したいと思います。


※本記事はアンガーマネジメントそのものを否定するものではなく、従業員研修に導入される際の文脈についての考察です。アンガーマネジメントとは「怒りを抑え込む」のではなく、「怒りをどう扱い、適切な対応へと変えるか」を目指す心理的アプローチの一つです。

企業研修としてのアンガーマネジメントに思うこと

SNS投稿の背景には、若い世代から「職場でのアンガーマネジメント」に関する相談が増えていることがあります。


アメリカではアンガーマネジメントというと、衝動的に怒りを行動に移してしまう人が、感情と向き合い、適切なコミュニケーションを学ぶクラスという印象が強いです。実際、犯罪加害者や裁判所の命令によって受講するケースも多くあります。


そのため、日本の比較的穏やかな若い人たちから「アンガーマネジメント」という言葉を聞いたときは驚きました。ただし「怒りとの付き合い方を学ぶ」という視点でビジネス場面に紹介されていると知り、なるほどと思いました。


一方で、日本の従業員研修でのアンガーマネジメントが、必ずしも「怒りとの健全な付き合い方」として理解されていない印象もあります。


実際、受講後に「怒りを全く感じなくするには?」や「怒りやストレスを感じる自分が悪いのでは?」と悩む人が多く、そこに“怒りを抑え込ませる圧力”や“個人への自己責任化”を感じました。それが投稿の背景にあります。


職場の『怒り』は組織の歪みから

アンガーマネジメントは本来、衝動的行動を避け、冷静に状況整理をして問題を相手に的確に伝えるコミュニケーションを目指すものです。しかし現実には、従業員が怒りを過小化し、その場をやり過ごすツールとして使わざるを得ない状況が多くあります。


つまり、「権利を主張できない環境」が背景にあるのではないか。


年功序列や「お客様は神様」といった文化の中で、不適切でも上司や顧客に従わざるを得ない状況は多いでしょう。アメリカでも、ワンマン的な上司や古い体質の会社ではバーンアウトが多く見られます。


上司への教育や組織の風通し改善がない限り、従業員にアンガーマネジメントを導入しても怒りは解消されません。むしろ原因を自分に求めて苦しむ人が増える可能性があります。


本来であれば、まずはパワハラ加害者や上層部が研修を受け、力関係を和らげる土台を作るべきだと思います。


アンガーマネジメントが機能するために必要な条件

アンガーマネジメントのゴールの一つは「自分の権利を相手に伝えること」。しかし、それを実行できる土台が職場にあるでしょうか。


  • どこまで我慢すべきで、どこから権利を主張してよいのかが曖昧

  • 意見を伝えても改善につながるか不明、むしろ不利益を被る可能性がある


このような職場では、アンガーマネジメントが「怒りの抑圧」として機能してしまう恐れがあります。



個人に転嫁される責任

従業員のバーンアウトの背景には、上司や組織のマネジメント不足が大きく関係しています。理不尽で一貫性のない指示に従ううちに、不満や無力感が募ります。


私自身、日本で上の立場の人に異論を唱えてもまともに取り合ってもらえなかった経験がほとんどでした。議論が改善に繋がるどころか、威圧や一般論で片付けられることが多かったのです。


こうした状況の中で、企業がアンガーマネジメントを導入しても、従業員の怒りを「個人の問題」として処理してしまうだけではないでしょうか。


おわりに

今回の投稿は辛辣に聞こえたかもしれませんが、反応が1万件以上寄せられ、その多くが共感の声でした。これは決して無視できない事実だと思います。


職場でうつ病を抱える人が複数出る状況が慢性的にあるのは、個人ではなく組織の問題です。


日本では心の問題が「自己責任」にされやすい風潮がありますが、人間は本来、共同体の中で支え合いながら生きてきた存在です。心の課題を個人だけに背負わせず、社会や組織の問題として考える必要がある。SNS投稿への大きな反響から、その思いを強くしました。


長文となりましたが、お読みくださりありがとうございました。この記事や投稿内容について、皆さんはどのように感じますか?ぜひご意見をお聞かせください。



クロスカルチャーコンサルタント・BUNKAIWA

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