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  • 執筆者の写真ヤス@BUNKAIWA

相手にNOを言える技術:境界線・バウンダリーの線引きとアサーティブネス(アサーション)を身につける方法



対人関係の悩みの背景には、自分が無理をしている状況があります。


それはつまり、自分の許容範囲を超えた何かしらの出来事が起きている、ということ。

対人関係のストレスを減らすためには、自分の出来ること・するべきことの許容範囲を見つけ自分と相手の間に境界線・バウンダリーを張ること。そして、その線引きを相手に明確に、快く伝えるための方法・アサーティブネス(アサーション)を身につけることが必要になってきます。

この記事では、対人関係のストレスを減らすために必要な心構えや対話テクニックを境界線・バウンダリーとアサーティブネス(アサーション)の解説と共に紹介したいと思います。


自分と他人の境界線(バウンダリー)とは何か?

自分と他人との境界線・バウンダリーとは、文字通り相手と自分の間にある見えない境界線、心の線引きのこと。これは、自分の心の許容範囲とも言えて、それは、相手に要求されたことが、どこまでだったらストレスなく行えるのか、どれ以上だとストレスに感じてしまうのか、そのように、自分に出来ること・出来ないことを区別してくれる指針ともなります。

相手を基準に、相手の要求を飲んでしたことが、だんだんと心の負担になっていってしまう時は、このバウンダリーの境界線があやふやになっている状態なのです。それはまるで、自分の家の中に、他人が自由に敷地を乗り越えて行ったり来たりしているようなイメージに近いでしょう。


これが続くと、だんだんと自分の権利が侵害されたような気持ちになり怒りの感情が湧いたり、自己否定感を感じてしまったり、はたまた、相手が自己中心的な人や支配力の強い人だった場合、相手にとって都合の良いように利用されてしまうことも起きてしまいます。

自身のバウンダリーを持つことは、自身の威厳、自己尊重、そして自己価値やアイデンティティといった自身の中心核を守られることにも繋がります。

そのため、自身のバウンダリーを守ることが、対人関係においてとても大切な要素となるのです。境界線・バウンダリーについてを特集した記事を読む



自分の心の許容範囲を知ることが、自他の境界線・バウンダリー作りの第一歩

自分と相手との境界線を作るには、まず自分がどこまでだったら大丈夫で、どれ以上のことは無理なのか。どこからが相手の問題で、どこまでが自分の責任なのか。自身の心の許容範囲と自分が責任を持つべき範囲を知ることが大切になります。特に、いつも相手に合わせがちな人は、自分の許容範囲を守ることは自分が持っている権利である、ということを理解しましょう。


そこには、他人との比較は一切必要ありません。なぜなら、一人一人体質が違うように、自分自身の許容範囲はその人にしか分からないことだからです。



バウンダリーを作るために、以下のステップを踏みましょう:

  1. 自分の権利を理解してみる

  2. 日々少しずつでも、自分を愛し評価する

  3. 自分に贈り物をしたり、好きなことをする時間を作る

  4. 自分が今必要としていることや、抱えている気持ちに触れること、そして今の自分に何が必要なのかを振り返る

  5. ⒋を踏まえ、自分にとってどのような境界線が必要なのかを考察する

  6. アサーティブネスのテクニックを身につけ、他人との境界線を明確にしていく


自分の許容範囲を知ったら、次は相手の要求を跳ね除ける能力:アサーティブネス(アサーション)を身につける

自身の許容範囲を理解したら、次は相手にそれを伝え、自分の許容範囲を守るテクニックが必要になります。

アサーティブネスとは、『相手の権利を侵害せずに』自分の主張を相手にしっかり伝えられる能力のこと。そこには、相手の要求を受け入れない・NOを伝えることも含まれます。


このアサーティブネスができるようになると、自分の人生の舵を自分が握っているような、とてもパワフルで自信につながるような心強さを手に入れることが出来ます。


アサーティブネスのテクニック

⒈ "I(アイ)" ステートメント


『わたし』を主語にした語り口は、対人関係において、とても大切なコミュニケーション方法です。これを実現するには、1)自分の感情をはっきり認識しておくこと、2)相手を責めるような形ではなく、状況を理路整然と説明すること、3)相手にされて嫌なことに対して、自身が感じる気持ちを伝えること、4)代わりにどのような対応をされたら大丈夫なのか説明する。

相手のどのような言動・行動によって自分がどう感じているのか、それを明確に伝えることで、はっきりとした自身と他人との境界線・バウンダリーが引けるようになります。


⒉ ブロークンレコードテクニック


自分が伝えたいことを相手に、真剣に、きちんと聞いてもらえるためにシンプルに、明確に、感情的ではなく事実を述べるような形で、(文字通り壊れたレコードのように)ただ同じ言葉を何度も伝える言い方です。

例えば、しつこいセールスはもちろんのこと、自分より権威のある人にNOを言いたい時に「いいえ、興味はありません。」を繰り返し、相手の会話に取り合わない、感情的にやり合わないことで相手を諦めさせる方法として有効です。


⒊ 制御出来ないような状況に陥ったら逃げる


自分が誠実に対応しているにも関わらず、相手が真剣に取り合う素振りが全く見受けられない場合や、感情的になってくる場合においては、まともな会話は出来ません。

このような状況に陥ってしまったら、会話を続けるのではなく、その場から立ち去るための決まり文句を作っておきましょう。(例「この話は今日はここまでで。」)

もしまともな会話が出来ない相手であれば、それは、その人に自分の権利を認めてくれる素養はないのだと、そのような人と付き合うことは辞めることも視野に入れて良いのかもしれません。


また、本当にDV疑惑のある不健全な関係を持つ相手との関係では、本人が問題に気づき本人が変化を迎える努力をするまでの間、物理的に距離を置くことが大切です。


アサーティブネスを妨げる文化的背景:わたしたちは自他境界線・バウンダリーが引きにくい社会に生きている

アサーティブネスの何が難しいのか。


そこには文化的な要素も大きく影響していて、同調圧力傾向が強い日本社会の場合、「みんながやっているから」と無理強いが起きやすい環境があったり、NOをわがままと受け取る傾向があったり。比較的自己主張が強く見える欧米社会でさえも、女性がはっきり主張することに対する偏見はまだまだ根深く、また、私たち自身が小さな頃からその考え方を無意識のうちに身につけてしまっていることもあり、アサーティブネスの実現は、多くの人にとって容易なことではありません。

しかし、誰もが自分の権利を持っていること。これは権威のある上司と発言権の低い部下など上下関係がある関係にも同じように存在しているものであり、むしろ立場が違うからこそ、上司が部下の権利を侵害していないか常に意識することが大切です。その相互尊重があって初めて対等で健全な人間関係を築くことが出来るのです。


また、文化背景や前提にある考え方が大きく異なる異文化出身者とのコミュニケーションにも、自分のバウンダリーを理解することやアサーティブネスの手法を持っておくことはとても大切です。

自分のバウンダリーを知り、自分の権利を守るためにNOを言えるようにすること。相手を尊重しながらのNOを言える力を持つことは、自身を守り自信を与える強さにも繋がります。そして、それが、対人関係をストレスフリーに成し遂げるための秘訣になります。

対人関係に疲れた時があったら、バウンダリーとアサーティブネステクニック、ぜひ意識して使ってみてください。


クロスカルチャーコンサルタント・BUNKAIWAのヤスでした。

 

関連記事:





参照:


Ted Talk: Good Boundaries Free You by Sarri Gilman


ヘンリー・クラウド、ジョン・タウンゼンド著


「敬虔なクリスチャンが相手のためにやってあげすぎてしまう傾向を抱えやすい」ということに着目した、聖書の教えを絡めてバウンダリーを説明する良書。キリスト教に詳しくなくても、日本の「おもてなし」「思いやり」「相手のために」を尊重するよう育った人にも共通する項目が多いため、すんなり理解出来る内容になっています。バウンダリーとは何なのか?健全なバウンダリーの引き方やバウンダリーを守るための対策など、これを読んだら人間関係が楽になること間違い無しな情報を網羅した良書です。



Rick Hanson

現在は英語版しかないですが、『幸せになれる脳をつくる「ポジティブ」を取り込む4ステップの習慣』の著者リック・ハンソン博士による本。人がストレスに打ち勝つための逆境力(レジリエンス)を身につけるためには何が必要なのか。その中には、対人関係において、自身をどう捉えながらバウンダリーを作れば良いのか、他人と自分の関係性を居心地の良いものにするためのヒントも紹介されています。とても勉強になる本でおすすめです。





Shear Goodman.M.L. & Fallon. B.C. (2016). Pattern Changing for Abused Women: An Educational Program. Amazon Services International, Inc.




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