top of page
ブログ: Blog2
  • 執筆者の写真ヤス@BUNKAIWA

対人関係が楽になるかも!知っておきたい自分と他人の心地よい距離感、境界線・バウンダリーのこと



対人関係に疲れている人によくあること。

相手に親身になるあまり、自分のことは二の次に、無理して合わせ過ぎてしまう‥。そして1日の終わりにはドッとした疲れと何とも言えない怒りが襲ってくる‥。それがどんどん続くうちに、だんだんと自分の人間関係が嫌になってしまう‥。

心当たりのある方はいませんか?もしかしたらそれは、相手と自分の境界線が曖昧になっていることを意味しているかもしれません。

対人関係のストレス対策において、何よりも大事なのは、自分の出来ること・するべきことの許容範囲を知り、自分と相手の間に境界線(バウンダリー)を張ること。自分の境界線・バウンダリーが出来てくると、他人との距離感が取りやすくなるだけでなく、自分への肯定感も上がり満足度も増えます。

そこで、この記事では、知っておくと対人関係が少し楽になるかもしれない『境界線・バウンダリー』について紹介したいと思います。


自分と他人の境界線・バウンダリーとは何か?

自分と他人との境界線・バウンダリーとは、文字通り相手と自分の間にある見えない心の線引きのこと。これは、相手に要求されたことが、どこまでだったらストレスなく行えるのか、どれ以上だとストレスに感じてしまうのか、自分の心の許容範囲とも言える存在です。そして、それは自分のニーズに応じ相手にしっかり『NO』を伝えるための指針にもなります。

相手を基準に、相手の要求を飲んでしたことが、だんだんと心の負担になっていってしまう時は、この境界線があやふやになっている状態なのです。それはまるで、自分の家の敷地にあるはずのフェンスが明確に無いような状態、他人が自分の敷地を自由に行ったり来しているようなイメージに近いでしょう。

これが続くと、だんだんと、自分の権利が侵害されたような気持ちになり怒りの感情が湧いたり、自己否定感を感じてしまったり。はたまた、やり取りする相手が自己中心的な人や支配力の強い人だった場合、相手にとって都合の良いように利用されてしまうことも起きてしまいます。また、自身が相手のバウンダリーを押し切ってしまう傾向を持つ場合においても、相手と自分の境界線が見えてない故に、「相手が果たしてどこまで自分の要求に答えてくれるのだろうか」と常に大きな不安を抱えてしまうことになるでしょう。

自分と他者との境界線がどこにあるのかを理解することは、自身の威厳、自己尊重、そして自己価値やアイデンティティといった自身の中心核を守ることにも繋がります。同時に、相手を尊重する姿勢を確立することにもなります。

そのため、境界線・バウンダリーへの理解を深めることが、対人関係においてとても大切な要素となるのです。


バウンダリーが必要な場面

境界線・バウンダリーが必要な場面は、大きく分けて二つに分けることができます:


1)機能性境界線・バウンダリー:社会生活上、仕事上のパフォーマンスや計画能力、訓練やタスク遂行能力などに関わる境界線・バウンダリー

2)関係性境界線・バウンダリー:人間関係におけるバウンダリーで、他人に正直に自分のことが話せるかどうか、が試される境界線・バウンダリー

例えば、仕事上では上手く優先順位をつけてやりくり出来るものの家族や友人のこととなると一気に人間関係が難しくなってしまう人は、機能性境界線の引き方が比較的上手だけど、関係性境界線は得意でない。そして、逆にプライベートは順調でも仕事上のこととなると自他の優先順位が上手く出来ない場合は、機能性境界線の引き方に問題がある、など。このように、言い表すことが出来るでしょう。


状況により自他の境界線・バウンダリーの引き方には人それぞれ得意不得意などの個人差があるようです。


問題のある境界線・バウンダリーの特徴とは?

それでは実際に、どのような場合が、境界線・バウンダリー作りが上手くいっていない状態なのか。具体的に、境界線・バウンダリー引きが上手くいっていない人の特徴を3つに分けて挙げてみたいと思います。


迎合的Compliant:

  • 自分と他人の境界線・バウンダリーがとても曖昧なぼんやりした状態のタイプ。

  • 自分の境界線がどこからどこまでなのかの把握がとても苦手。

  • 他人の要求を断ることに大きな罪悪感を感じてしまう。

  • 相手との衝突や嫌われることを恐れつい相手の要求を飲みがち。

  • 後で怒りが湧いてくる。


回避的Avoidant:

  • 相手に歩み寄ることがとても苦手なタイプ。

  • 自分の権利を主張することが我儘のように感じてしまう。

  • 自分の権利や主張を認めることを避けてしまう。

  • 助けが必要な場面においても必要なサポートを他人に頼ることができない。

  • 一人で悩みを抱え込んでしまう。

支配的Controller:

他人の境界線・バウンダリーを尊重しないで自分の主張を押し切るタイプ。この中でも2タイプがあります:

  1. 攻撃的タイプ:他人の境界線・バウンダリーを無視し自分の我を通す。

  2. 操作的タイプ:相手に罪悪感を植え付けるやり方で自分にとって都合の良い方向に言いくるめようとし、やってあげたことにリターンを求める。


境界線・バウンダリーは一般的に、壁のように相手と自分を二分するものではなくて、フェンスのように、明確な仕切りはありながらも良いものは吸収し、悪いものは外に出すような、そんな柔軟さを持つ存在で捉える必要があるそうです。


上記の3例とまではいかなくとも、適切な境界線・バウンダリーを引くには、自分の今の境界線・バウンダリーの引き方の傾向を知るとともに、自分の心の許容範囲を深く知っていることが大切になってくるでしょう。



境界線・バウンダリーはどう構築されるのか?

境界線・バウンダリーは、誰もが一番最初に出会う親・保護者との関係から始まります。保護者とのやりとりを通じて、子供は、自分の権利と保護者(他人・社会)の権利の境目を学んでいきます。

子供の自我が芽生え始める18ヶ月以降(イヤイヤ期)のころに、保護者が子供の『NO』の意思に対してどのような対応を持って接するか。子供の意思表示に保護者がどれだけ安心できる環境を提供しながら、善し悪しをきちんと教えられるか。それにより境界線・バウンダリーの形は大きく変わってくるそうです。


自分の権利を主張した時の保護者の反応が、穏やかに受け入れられるのか、それとも大きな拒絶や否定に繋がるのか、それによりバウンダリーの線引きに対してその子が経験する感情は大きく変わってきます。そして、その感情の経験が自身の境界線・バウンダリー発達の土台となるのです。これについて詳しくは、こちらの本をご覧ください。


しかし、子供の頃の影響を大きく受けるものの、その他、文化的背景や社会的に良しとされる概念によっても、境界線・バウンダリーの構築のされ方は変わってくるでしょう。


そして、これは一生変わることの無いものではなく、例えば、自分を大切にしてくれる友人、誠実なパートナーや心理カウンセラーとの対人関係を元に学習された愛着(Learned Attachement)を経験することで、健全なバウンダリーを再構築することが可能です。


境界線・バウンダリー作りは自己主張や我がままとは違う、自分の権利を守る行為

自分の境界線・バウンダリーを守ることへの大きな誤解として、相手よりも自分の意思を主張する点が、我がままであったり思いやりを欠いたりする行為のように受け取られることが挙げられます。しかし、健全な境界線・バウンダリーを引くこと、やれること・出来ないことの意思表示をはっきりしておくことは、自分と他人の責任や権利を深く理解し全うするための、自分にとっても、他人にとってもとても責任のある行為です。


境界線・バウンダリーを引くことの難しさの背景には、相手への義務感や愛情、罪悪感、相手からの拒絶への恐怖など、様々な相反する感情によるジレンマがあるからだそうです。


特に、相手に恩義がある場合、境界線・バウンダリーが崩れやすくなることが指摘されています。しかし、相手の恩義をギフト(貸し借りのないただの相手の気持ちを表したもの)だと受け取ること、愛に見返りはあってはいけない、と理解すること。相手からの愛には感謝で応えれば良いのだということ。


そして、自分に出来ることは自分の限界を知り、それを尊重しながら、その中で出来ることをすることのみ。それは相手にも言えること。これらを心に留めておくことが、自分にとって無理のない対人関係を築く上でのヒントとなるかもしれません。


クロスカルチャーコンサルタント・BUNKAIWAのヤスでした。

 

関連記事:





参照:

ヘンリー・クラウド、ジョン・タウンゼンド著


「敬虔なクリスチャンが相手のためにやってあげすぎてしまう傾向を抱えやすい」ということに着目したところから、聖書の教えと照らし合わせながら境界線・バウンダリーを解説する名書。これは日本の「おもてなし」「思いやり」「相手のために」を尊重する文化背景に育った人にも分かり易く理解出来る内容になっています。バウンダリーとは何なのか?健全なバウンダリーの引き方やバウンダリーを守るための対策など、これを読んだら人間関係が楽になること間違い無しな情報を網羅した良書です。毒親やアダルトチルドレンについて理解を深めたい人にも是非読んでもらいたいです。



岸見一郎&古賀 史健著


相手に見返りを求めることが何を意味するのか。自分の権利や立ち位置、相手をどう理解することが自分と相手が対等に付き合える決定打になるのか、など、アドラー心理学を取り入れながら、とても分かり易く自分と他人(特に恋人や家族)の関係を深く切り込んでいる名書です。私は『嫌われる勇気』よりもこちらの本がすごく好きです。大変おすすめです。



Shear Goodman.M.L. & Fallon. B.C. (2016). Pattern Changing for Abused Women: An Educational Program. Amazon Services International, Inc.




0件のコメント

ความคิดเห็น


bottom of page