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海外生活の孤独がつらい。慣れない土地で孤独を乗り切るための対処法【異文化変容ストレス】



誰も知らない新たな土地で生活を開始するとなると、避けては通れないのが孤独な体験


海外生活でのつらい体験に、『孤独さ』を一番を挙げる方も多いのではないでしょうか?

比較的一人の時間が好きなわたしですらも、アメリカ生活開始当初たまに襲ってくる孤独感には堪える時がありました。しかしながら、気持ちの切り替え次第では、海外生活の孤独感を和らげることが出来ます。


そこで、この記事では、海外生活の孤独をどう乗り切れば良いのか。孤独の与える精神的ダメージの特徴と、その対処法をわたしの体験を交えながら紹介してみたいと思います。



孤独は人間にとってはとても酷なもの

そもそも、孤独って人間にとってどのような存在のものなのか。


生物学的に、人間は共同体を形成して生きてきた動物。わたし達の祖先は、言葉を発達させ、他者との意思疎通を通じて、愛着という見えない感情の絆を他者との間に築きながら互いの結束を強めてきたそうです。


そのような人間にとって、一人にされるような感覚や、誰とも繋がれていないような遮断感、というのはとても大きな不安や恐怖心、深い悲しみを引き起こします。

誰も知り合いのいない新たな場所に住むことからスタートする海外生活では、最初は社会からの疎外感のような孤独な感覚をどうしても経験しないわけにはいきません。

海外生活で感じる孤独感は、人間である限り感じて当たり前の感覚なのです。

孤独よりも、孤独が引き起こす二次感情が問題

ACT理論創始者の一人である心理学者のヘイズ博士は、人が心の痛みを経験する背景には、人間が本能的に切望する何かがそこに隠れていると話しています。そして、その切望することを得ようとするために、自己流で葛藤を重ね、それが結果的に自分を苦しめる思考パターンを作り出している場合がある、と精神的疾患や症状についてを説明しています。


それはつまり『孤独』への痛みにも同じことが言えて、孤独の背景には、『他者との繋がりや、他者に必要とされたいと感じる』切望があります。そして、他人と繋がるために、馴染むための努力や相手の気を引くようなことをして見せようとする。しかし、それがうまくいかず目標が達成出来ない自分に対して『孤独』に伴うつらい感情、例えば、自分は大した人間じゃないのか、誰からも必要とされていないのではないか…などの痛みを引き起こしています。

孤独が起きるのは、他者と繋がれているような感覚が持てていないから。自分の居場所を感じられるような場所が精神的に持てていないから。


そうなった時に、人が起こすアクションはそこから抜け出そうとすること。しかしそれが上手くいかないと、どんどん、自分を偽って周囲に溶け込もうと無理をしたり、思うようにいかない自分に原因を求めて責めて自己嫌悪してしまったりの負の思考パターンに陥るのです。


この負の思考パターンが、自分をさらに苦しめてしまうことが、孤独の大きな問題だと言えるでしょう。

海外生活での孤独の対処法

それでは、海外生活において、孤独から引き起こされる負の思考パターンに陥ってしまわないためには何が必要なのか。


以下を実践してみてください:


⒈ 海外生活開始後最初の半年はどう頑張っても孤独は避けられないと割り切ること。


海外生活を開始したばかりの者は、誰もが皆孤独を体験すること。それは状況的に避けては通れない必然的に感じて当然の感覚であることを認識しておくこと。今、自分が孤独を感じているのは、状況的な問題だと割り切ってしまうことが何よりも大切です。

⒉ 海外生活においての自分の役割をしっかり認識すること。


そもそも、なぜ海外生活をしているのか。それは留学のため?仕事のため?家族のサポートのため?


何を目的に、今、自分が海外生活を送るのか、その理由を明確にし、自分の存在意義をはっきりさせることが大切です。そして、まずはそこの土台をしっかり作っていくことに専念すること。


学生さんだったら、無理に友達作りをするよりも、とにかく学校環境に慣れて勉強をしっかりこなしていくこと。家族の帯同であれば、異国にやってきた自分がどうしたらここに居場所を作れるのか、滞在期間中やりたいことを考えてみたり、なりたい自分作りなど目標を立ててみたりしても良いかもしれません。自分という一人の人間の存在が、この場所のどこにどういう居場所を作れるのか、この考え方を持っておくことがとても大事です。

⒊ 自分の慣れ親しんだことを楽しむ。


日本にいる家族や友人と話したり、自分の既に持っている繋がりを大切にしていくこと。新しい環境に早く適応したい気持ちは山々なものの、自分の既に持っている繋がりを孤独な時だからこそ、積極的に取り入れていくこと。


「英語(現地語)の勉強に支障が…」の心配から、無理して日本語環境を無くしてしまう人は少なくありません。しかし、孤独な今ぐらい、自分に優しくしても良いではないでしょうか?

⒋  自分なりの居場所を作っていくこと。


どこでも良いから、自分の行きつけの場所を見つけていくこと。例えば、近所のスーパーでも、学校の図書館でも、ファーストフード店でも、スターバックスでも。とにかく、自分が見慣れる場所を一つ作っていくことで、よく見かける人、よく聞く言葉、よく見る風景などが、少しずつ馴染んでくる感覚が得られます。そして、その場所をスタートに、新しい環境、新たな場所に自分の居場所が広がっていくきっかけとなるでしょう。

⒌ 自分が自分の一番の理解者、ベストフレンドになる感覚を身につけること。


自分が孤独に苦労している時に、そこに自身が寄り添ってあげることも出来ます。


例えば、自分の今日一日頑張ったことを紙に書き出してみたり、大変だったことを客観的に冷静に振り返る時間を作ってみても良いかもしれない。その時に、これがもし自分の大切な友人の話だったら、どう思うだろうか…。それを考えてみてください。


本当の意味で自分を理解してくれるのは自分だけ。なので、どうせだったら、自分が自身の最大の理解者として、一番の応援団としての役割を担ってしまいましょう。

友達作りは急がなくていい?

この5つの対処法を聞いて、「あれ、友達は?」と思った方はいませんか?

孤独の対処法によく上がる、友達を作るという手段。


もちろん、現地に友達を作ればそれが孤独対処への即効力になることには違いありません。

しかし、無理して友達に合わせた付き合いをしている場合であれば、それは本当の意味で自分の居場所を見つけたことにはならず、さらに孤独が加速される可能性もあります。これは、実は、先に述べたヘイズ博士の説明する、自分流の対処が自分の首を絞めてしまう負の思考パターンの一つになった場合の例です。


そのためわたしは、友達作りは初めは焦らなくても良いのではないかな?と思っていますよ。

おわりに

孤独が起きているのは、自分のせいではなく状況がさせているもの。そして、誰も知らない見慣れない場所に来たら、誰だって最初は絶対に経験するもの。

孤独を打破するには、日本の慣れ親しんだものに触れて手助けをしてもらいながら、徐々に徐々に、少しずつ新しい環境での居場所や自身の存在価値を高めていくことを実践していけばいい。


異文化変容のプロセス、そして異文化適応のスピードには、個人差があるものの、絶対に、この時期が抜ける時が誰にでも来る。そして、自分らしい、自分に合った居場所を見つけることは出来る。それを信じて、孤独を乗り切る時を迎えていきましょう。



クロスカルチャーコンサルタント・BUNKAIWA

 

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おすすめ書籍:

コンビニ人間

村田沙耶香著


『孤独』に対して180°見方が変わるかもしれない、少し典型的ではない感性の持ち主である主人公を描いたフィクション小説。

人と繋がることを求めない、ただ、コンビニ店員でいることがとても心地いい主人公が、自分の生き方を貫く方法を見つけていくまでの様子を淡々と追うストーリーで、孤独も悪くないな、と思う気持ちになること間違いなし。



ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)を学ぶ

ジェイソン・B・オルマ&スティーブ・ヘイズ著


この記事でも説明している、ACT(読み方:アクト)理論の創始者の一人スティーブ・ヘイズ博士の理論の考え方が学べる本。ACTは、精神疾患など個人の心の葛藤がどのような文脈の中で起きているのかに注目した、コンテクスト重視、プロセス重視の心理理論で、わたしもとても好きな理論の一つです。



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