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  • 執筆者の写真ヤス@BUNKAIWA

心理カウンセラーが提案する【自己啓発本】との正しい付き合い方



みなさんは自己啓発本を読んでいますか?

様々なライフハックや人生向上のためのノウハウが載った自己啓発本。

わたしも、昔からこれらの本を読むのが大好きです。

しかしながら、一括りに自己啓発本とされているカテゴリの中には、本当にためになる心理学知識をまとめた本もあれば、個人の成功談のようなものや根拠の無いものもあるなど、情報が多岐に渡ります。そのため、読み分けの技術が必要となってくるジャンルでもあるでしょう。

研究を基にした事実と個人の主観の境界が曖昧であるが故に、自己啓発本との付き合い方を知らないと、間違った情報を鵜呑みにしてしまったり、思い込みが補強されてしまったり‥。のちのち、自分を苦しい状況に追い込んでしまう場合も。

そこで、今回の記事では、自己啓発本の特徴とお勧めの読み方など、自己啓発本に人生を振り回されないための程よい付き合い方についてを提案したいと思います。


自己啓発本のタイプ4種

自己啓発やセルフヘルプといったこれらのジャンルに属する本は、生き方のヒントを提案する様々な情報が紹介されているのが特徴です。

それら自己啓発本の提供する情報は、大きく分けて4種類に分けられるように感じます。それぞれの特徴とメリット&デメリットはこちら。


⒈ 学者が研究を重ねて導き出した科学的根拠やデータを解説した本

心理学の専門書など、その道を研究している学者による、彼らのリサーチや研究結果をまとめた本、もしくはその研究を分かりやすく解説した本。


特徴:

彼らの書籍は一般的に、APAスタイルという文体で書かれており、過去の別の実験や研究結果に基づく内容を本文中で説明する場合、誰による・いつの研究からくる情報か、文章に参照が分かりやすい形で明記されています。そして、参考にした文献をまとめたリスト(参照ページ)は、数ページに渡るなど比較的長いのが特徴です。


メリット:

情報の出所が明確化されているので、著者の主張に透明性と信憑性があります。

ごく稀に、偏りのある内容の本もあるのですが、参照論文の出所を突き止めることがしやすいため、本当に信頼できる情報かどうか判断がしやすいです。

例えば、心理学の世界では、女性軽視や母親信仰が書かれた論文が20年30年前はありましたが、今では現代のジェンダー観で語られることが主流のため、男女社会的役割差に固執する本がある場合、参照論文の発行年を調べることでそれが古い情報によるものかもと確認することができます。


デメリット:

物事が比較的客観的に説明されているので、教科書を読んでいるような気分、または専門知識がないと、内容を把握することが少し難しいかもしれません。


⒉ 知識層タレントや専門職・医者タレントによる本

⒈ に当てはまるような研究や事実に基づく内容を一般人に向けて分かりやすく噛み砕いた本。


特徴:

「研究内容」ではなく、「最近の世間が気になっていること」や流行りのトピックをテーマに、それらの内容に添った文献や情報を集めてくるようなスタイルで本がまとめられています。流行のトピックをピンポイントで押し出したキャッチーなタイトル作りも大きな特徴かと思います。


メリット:

タイトルがはっきりしているので、読者にとって、とても取っ付きやすい。また、欲しかった情報を分かりやすく気軽に学べます。


デメリット:

流行にとても流されやすい。専門職や医師を監修にしていたとしても、専門分野が全く異なる方が違う分野のトピックを語っている場合、情報が間違って解釈されていたり、情報操作されたりすることもあるでしょう。

例えば、数年前に流行ったアドラー。本屋には「アドラー流〇〇」がキーワードの本が書店に並びました。「自己肯定感」の代名詞代わりにアドラーが使われたこともあって、医師や経営者によるビジネス指南の本もありましたが、果たしてどこまでアドラーの考えが理解された上で語られているのか、その辺が不透明なものも結構あるように思いました。


⒊ 個人の体験を綴った成功談

有名経営者や大きな功績を残した方の自伝や成功談、理念などをまとめた本。

特徴:

著者がどのような生き方・考え方を持つのかが密に学べることが魅力。

メリット:

尋常じゃない努力をした人や、突飛な発想を持つ人、または理念に哲学を感じるような人など、様々な角度から人の生き方について刺激を受けられる。


デメリット:

主観に基づいているので、その人には当てはまったことが必ずしも自分にもできることとは限らない。「自分には同じ苦労はできない」とエネルギッシュな人生観を見せられて落ち込んでしまう人もいるかと思います。


⒋ スピリチュアル関連の本

占いや運勢、風水などの、俗に言う「スピリチュアル系」をテーマにした人生指南の本。

特徴:

生年月日などをもとに、自分の傾向を学べることが魅力。統計学が基になっているなど、ある程度の傾向を客観的に図れるものを含む。


メリット:

読みたいテーマが特になくても、なんとなく流し見できる気軽さがあること。心理学関連書籍よりも取っ付きやすく、娯楽性が強い。


デメリット:

断定口調や「〇〇すべき、さもなければ‥」と言った暗示性の高い内容のものを鵜呑みにしてしまうと、自分の生活の仕方を制限してしまうなど強迫概念的思考を生み出してしまう危険性も無きにしも非ず。


自己啓発本のバランスの取れた読み方

上記を踏まえ、以下がわたしが提案する自己啓発本との付き合い方です。


⒈ 自分が自己啓発本を読む理由やその背景を振り返る

自己啓発本を読む時というのはどのような時でしょうか?

ただ単に面白そうな本を読みたいと感じている時もあれば、何かに困っていてその理由や解決法を見つけたい時の場合もあるでしょう。

自身が情報を必要としている量を把握すること。例えば、このトピックに興味あるから情報をもう少し知りたいな~ぐらいのレベルであれば、自己啓発本で知識を深めることはとても有効だと思います。

しかしこれがもし、自身がかなり困っていて切迫している状態(例えば自身・家族の鬱への対処法や育児・介護疲れ、アンガーマネジメント、DV、不登校、発達障害との付き合い方等)であるのならば、本で自己解決するのではなく、早い段階で専門家に相談を仰ぐようにしてください。

自己啓発本はあくまでも情報を発信している情報集でしかなく、それをどう自分の人生に取り入れ適用させていくかには、個人的なガイダンスが必要な場合も多々あります。

そのため、藁にも縋る感覚で自己啓発本を読み漁っている場合などは、一度立ち止まって「自己啓発本が必要な理由」を考える機会を設けてみても良いのかもしれません。


⒉ 気持ち半分で読み進める心構えを作る

タイプ1の自己啓発本を除き、自己啓発本はあくまでも雑学程度に受け留めておく心構えも大切です。

そもそも本の対象者が自分個人ではなく万人に向けられた内容なのだから、自分に当てはまらないアドバイスが存在することも。

「そういう考え方もあるんだな‥」ぐらい、気持ち半分に受け留めておくこと。

特に、個人の体験談や占い・スピリチュアルに関するものには、より一層、その視点を持っておくことが大切かと思います。


⒊ 情報を鵜呑みにしない。疑いの目を持っておくこと

本で書かれている情報はどこから来ているのか、参照ページを見てみたり、著者のプロフィールや経歴を探ってみたり、情報を疑う目を常に持っておくことも大切です。

断定口調で書かれたものであったとしても、その情報源がはっきりしないのであれば著者個人の視点から書かれたものなのだと理解することが出来るため、『個人的見解』と『事実』を区別することが可能になります。

そうすることで、情報に一方的に踊らされてしまうことも減ってくるでしょう。


おわりに

自己啓発本は、自分の知見や視野を広げてくれる、多くの可能性を持つジャンルだと思います。

しかしながら、マーケティングの操作や著者の工夫次第で、本当に知られるべき情報、参考程度で抑えるべき情報が、全て同じ土俵に上がって同じように流通している、読者にとても混乱を招きやすい状況も起こっているように感じます。

そのため、自己啓発本にかなり気持ちを翻弄されてしまったり、適切なサービスに辿り着くことが遅くなってしまったりする人も出てきてしまう危険も。

そのため、この記事が、少しでもみなさんの自己啓発本の選び方の参考になれたら嬉しいです。最後までお読みくださりありがとうございました。


クロスカルチャーコンサルタント・BUNKAIWAのヤスでした。

 

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