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先行きの分からない不安な時世だからこそ知っておきたい『アナと雪の女王Ⅱ』のエルサに学ぶ不安への対処法


2013年に公開され、世界中で歴史的大ヒットとなった異色のディズニープリンセス映画『アナと雪の女王』

その続編である『『アナと雪の女王Ⅱ』は、6年後の2019年秋に公開され、これもまた大ヒットを記録しました。

第1作目では、子供時代のある出来事がきっかけで疎遠になってしまった仲の良かった姉妹が和解しかけがえのない存在になっていく様子が、そして第二作では、ストーリーの中心にあるエルサ(雪の女王)の能力の由来を謎解いていく過程が描かれています。

この映画、公開当初に映画館まで観に行ったわたしですが、当時は全く気づかなかったものの、改めてパンデミック中に観てみると、とても面白い気づきが。

それはなんと、エルサの聞く『謎の声』をそっくりそのまま『不安な気持ち』に置き換えることで、そしてエルサの『謎の声』への向き合い方を通じて不安への対処法が学べるということ!

そこで今回の記事では、『アナと雪の女王Ⅱ』から学ぶ先行きが見えない不安への対処法と題し、映画が教えてくれる(かも知れない)不安への向き合い方についてのヒントを心理学の視点を交えて解説してみたいと思います。

アナと雪の女王Ⅱのあらすじ

第1作の3年後の設定の本作。自身の特殊な能力を受け止め、王国の人たちと仲良く楽しく共存していたエルサ(雪の女王)とアナたち。ある日を境に、エルサが謎の声を空耳のように聞き始めることからストーリーが始まります。

日に日に大きくなっていくその謎の声の真相を探るために旅に出たエルサとアナ達は、その道中を経てエルサの能力に隠された秘密を知るのでした。

『謎の声』が『不安な気持ち』を表すメタファーになっている

前作と共にこの映画シリーズの大きな見どころは、なんと言っても物語のテーマを代弁する主題歌。


前作の『Let it go』では、「過去を流せ、今を生きろ」的な、自身の能力を受け入れられなかったエルサに対し、ありのままの今の自分を生きることを応援するメッセージが込められていました。

本作では『Into the Unknown』(未知に入っていく‥)がテーマに。この曲は、『謎の声』に導かれながら、エルサが自分の能力の秘密に向き合う意思を構築していく内容となっています。曲中では『謎の声』とエルサの関係に、主にこのような変化が見られる工夫が:


Into the Unknown

【イントロ】

自分一人だけ『謎の声』が聞こえる‥。

→不安に置き換えると:自分を疑う。自分だけが?と自分の状況を異常に思い悩み塞ぐ。


【前半】

『謎の声』が頻繁に増えてきた!!

→不安に置き換えると:不安が収まるどころか、不安に思う頻度や度合いが大きくなり始める。


【中盤前】

『謎の声』を無視しようとするエルサ。

→不安に置き換えると:不安要因をなかったこと、逃避・回避しようとする。避けようとするが不安が付き纏い取っ払うことがうまくいかない。


【中盤後】

『謎の声』が自分に何かを伝えようとしているとしたら‥と考え始める。そう言えば、自分の力が最近強くなっているのを気にしていたんだったと改めて気づく。

→不安に置き換えると:逃げる対処法が上手くいかないことを理解する。そして、今ここにある現実に起きていることを一度立ち止まって振り返ってみる。


【後半】

『謎の声』の意味に気付いてくる。自分がなぜそれに惹かれたのか、深く追求したいと思うように。

→不安に置き換えると:先入観を取り除き好奇心の目を持って状況把握してみると、不安が伝えることは悪いことではなく、するべきことが見えてきた。


【最後】

『謎の声』が導く何かを探求することに、よっしゃやったるか!と意気込むエルサ

→不安に置き換えると:自分のやるべきことに使命感・価値観を見出し、それを後押し実行するための勇気を得る。 エルサが辿っていく心の変化の様子は、『謎の声(得体のしれない何かの兆候)』と『未知の世界に入っていく』というキーワード、それが彼女が慢性的に抱えている『魔法を制御出来なくなったらどうしようという不安』とシンクロしながら表現されることで、まるで、人間が辿る『不安』への健全な向き合い方を表しているように受け取れます。

不安が起きるメカニズム

不安な気分が起こる時に多くの人が取ってしまう行動、それは、不安を回避する事。

不安を回避するために、不安に思うことを考えないようにしようと思ったり、不安を誘発する要素を避けるために行動を制限してしまったり。

でも、不安を考えないようにしよう、避けよう、と思いながら生活していると余計に人は、不安を軸に、不安に支配されたような生活を送ってしまうのです。

自分にコントロール主導権がない感覚だと、不安がいつ襲ってくるか分からない‥どう対処して良いか分からない。そのような先行きの見えない状況が、さらに大きな不安な感情の波を次々と引き起こしてしまいます。


感情の波に押し寄せられどうしたら良いか分からない状態が、さらなるパニックを生み、無力感を与えてくる‥このネガティブなスパイラルが、どんどん大きくなりながら続いてしまう。それが不安が持つ怖さの一つです。

不安への対処法は、不安を受け入れる勇気から始まる

不安への一番の対処法は、不安から目を背けることではなく、今目の前に起きている不安が何なのか、それに向き合う姿勢を持つこと。


不安がどうして起きているのか。その不安が本当は何を伝えているのかを直視し問題を整理すること。そして、それとどう向き合い、どう受け入れることで、自分はこれから先、どのような人生を歩んでいけるだろうか。自分が価値を置くことを守るためには、どのような選択を積極的に選んでいけばいいだろうか‥。

それはまるで、荒波に飲み込まれそうになったら、どうすれば波に飲み込まれないで済むのか、状況を冷静に把握した上で、舵を切ることだったり、錨を下ろして衝撃を減らすことだったり。または、エルサのように、自分自身に起きている状況を一度冷静に振り返る機会を設けたり。


状況を深く多角的に客観的に情報収集するように把握し、今、目の前に起きている事態に柔軟に対処していくこと

エルサが得体の知れない『謎の声』をどう捉え、次のアクションにつなげていくのか。自身の魔法がコントロール制御出来なくなるのではないかと不安を感じて一人で悩んでいた彼女の葛藤が、しまっていた魔法(本当に恐れていたもの)を徐々に開放していく様子と共に、このテーマ曲に見事に体現されています。

コミットメント(決めたことを貫く意思)の大切さ

テーマ曲を機に徐々に『謎の声』と『未知の世界』に果敢にアプローチするエルサですが、彼女は映画後半にさらに逞しく進化します。

未知のものたちに向き合い、自分の存在意義を理解したエルサは、目的地にたどり着くためにダークシーという不吉な雰囲気の寒そうな荒波を乗り越えなければなりません。


そこに現れた馬の形をした海の精霊がエルサを攻撃しようとするのですが、その時のエルサの態度といったら!

ブレない意思を持ったエルサはもう、怖いもん無し!!という感じで、躊躇なく荒馬を乗りこなすまさかの展開が待っているのでした。それは、柔軟に困難に対処する力を蓄えたからこそ出来たことです。

おわりに

コロナウィルスという未知のウィルス、経済的不安、不安定な社会情勢、二分化した政治(アメリカの場合)、いつまで続くのか分からない隔離生活‥。パンデミックが起きてからというもの、先行きの見えない不安が世界中に押し寄せています。

カウンセリングでも、今年に入ってから、日米関係なく大きな不安を抱える人がとても増えている実感があります。

この映画で紹介したエルサと『謎の声』や『未知との遭遇』の関係は、フィクション映画の世界から取り出したものなので、ぴったりと現代社会を生きる我々の『不安』の症状に当てはめきれるものではないかも知れません。

しかし、得体の知れないことに対する不安な気持ちに対して、この不安が何を自分に伝えようとしているのか興味を持ち向き合っていく姿勢、不安にコントロールされるのではなく、人生のコントロールの主導権は自分が握っているような感覚。そして、その実現には、臨機応変に適応していく心の柔軟力・適応力を鍛えておくこと。受動的から能動的に意識を切り替えるこのマインドセットは、現実の世界で生きるわたし達にとっても、とても大切な概念に思います。


今回は、不安への対処法について『アナと雪の女王Ⅱ』を交えて少し砕けた方法で紹介してみました。心理学者をストーリー構想チームに含めることもあるディズニー映画は、セラピーで話し合われるようなメッセージやコンセプトが込められていることが多々あるため、これからも、映画と心理を掛け合わせた記事も書いていこうと思っています。この記事が、みなさんのお役に立てる部分があったら幸いです。

クロスカルチャーコンサルタント・BUNKAIWAのヤスでした。

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参照:

アナと雪の女王(映画)


Eifert.G.H., & Forsyth. J.P. (2005). Acceptance and commitment therapy for anxiety disorders: a practitioner's treatment guide to using mindfulness, acceptance, and values-based behavior change strategies. New Harbinger Publications. Oakland: CA.


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